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断らない医療の実践
救急医学の本質を、これほど簡潔かつ的確に述べた言葉はないように思います。 救急医学とは、いつでも、どんな訴えでも、どんな患者さんでも、重症度を問わずに受け入れる唯一の専門科です。各専門科医師、ナース、事務員の協力のもと、病院全体で救急医療を行うという体制があるからこそ、ER型救急医療の前線において、怪我をした人の前にも、子どもの前にも、軽症であっても重症であっても、あらゆる救急患者さんの前に立つことができる。救急医として、あるいは、救急医となるために、一人一人の患者さんと向き合いながら、ER診療のおもしろさとやりがいを共有できる仲間を募集しています。

ER救急医の仕事

青木淳医師
許勝栄
救命救急センター総合診療科統括医長
救命救急センター救急科医長
臨床研修センター副センター長許勝栄

ER救急の魅力

どんな救急患者さんの診療にも携わることができる点です。年齢や性別、訴えの内容、重症度を問わずに対応することに、医師としての好奇心を刺激されます。これだけ、幅広い患者さんに対応するには、急性期医療の幅広い知識や技術が必要ですから、知識や技術、経験が身につく満足感もあります。

性別や年齢、臓器に絞って、自分の腕を極める楽しさもありますが、急性期の幅広い患者さんに対応できるのは、ER救急医だけだと思います。ER救急医にしかできないことがある、とてもやりがいを感じますよ。

ただ、TVドラマのような華やかな場面は、そう多くありません。実際のERの現場は、もっと地道、本当に地道です。多発外傷や心筋梗塞の人が毎日、続々と来るようなことは、TVドラマの世界だけです。ウォークインの患者さんを日々診ていきながら、ときどき、時間との闘いになるような患者さんが運ばれる、それが「断らない救急」であるER現場の実際の姿です。

ER救急医に深みが無い、は誤解です

ER救急について、専門的治療、深みが無い、技術を高められないという声を聞きますが、これは誤解です。ERの魅力でも話しましたが、どんな患者さんにも対応できるというのは、高度な診断能力、幅広い知識が必要です。専門科には専門科の面白み、深みがありますが、ERだって同じだと思います。

患者さんを最後まで診ることができない、という意見もありますが、これはそもそも不可能だと思います。あらゆる患者さんに、訴えの内容、重症度に関わらず対応していくとなると、すべての患者さんを救急診療から入退院まで診るのはスーパーマンでないとできません。どこかで線引きしないといけないと思います。軽症、重症問わず急性期の患者さんのどんな訴えにも対応しつつ、蘇生に関しては専門家。ER救急医は、やればやるほど深い世界です。

患者さんから、ERチームへの「ありがとう」

一般的に、ER救急医は患者さんから感謝されづらい立場で、治す喜びに欠けると考える方もいます。患者さんは、急病で来るわけですから、誰が診たか分からないということもありますし、入院することになって、専門科の先生にお世話になったらなおさらでしょう。

でも、まったく感謝されないわけではありません。私が実際に経験したことですが、松本に旅行に来ていた北海道の方が、目まいを訴えて来たことがあります。年齢や既往歴から脳を調べましたが、とくに問題が無く、症状が良くなったので、「せっかくの旅行なんですから、残りの時間を楽しんでください」と、ホテルに帰しました。数日後、北海道からお礼の手紙が届きました。

この手紙は本当に嬉しかった。何が嬉しいって、ERチーム全員のお礼だったことです。私だけはではなく、看護師さん、事務の方、皆へのお礼で、なおさら嬉しかったです。それと、たとえ患者さんからお礼を言われなくても、いいんじゃないかとも思います。ERはチーム医療なんですから、病院全体で患者さんが良くなればいいんです。病院全体でERに取り組む、専門科の先生を含めて皆のバックアップを受けている、その前線を担っている、それだけでも充実感を味わえます。

自分の時間、家族との時間を大事にします

救急全体のイメージとして、四六時中働くイメージがありますが、ERは違います。ERは、シフト制の勤務になりますので、勤務時間後は、原則的に病院から呼び出されることはありません。

24時間連続勤務というような勤務体制ではないので、体力的に辛くて、どうにもならないということはありません。女性医師の方にとっても、いいことではないでしょうか。米国のERでは、研修医の女性割合が5割弱と多いんです。仕事のオン・オフがはっきりしているので、働きやすいということがその理由です。

相澤病院の救急医のシフトは、日勤の場合、午前9時から午後5時30分までで、最後に受け持った患者さん次第の部分はありますが、だいたい午後7時には帰れます。仕事中は、患者さんが多く、大変ですから、仕事のオン・オフをはっきりすべきだと思いますし、家族との時間も大事にすべきです。そうしないと長続きできません。相澤ERでは、それが可能です。家族を犠牲にして頑張れ、という気持ちはまったくありません。家族を大事にして、一緒に長くやっていきましょう。

研修医でも、ERで働けますか?

若い人でも、不安なく来て欲しいです。現場では、患者さんが次から次に来ますので、全症例を問診から治療までずっとつきっきりというわけにはいきません。ただ、救急専門医は必ずいますから、現場でのサポートはいつでもできます。

患者を帰すべきかどうか、投薬、技術に関して、判断に迷えばリアルタイムで指導できる体制を整えています。トレーニングのプログラム内容は、本人の希望を聞きながら組みますし、ローテーションも、自分が強くしたい専門科を重点的に割り振ります。

2010年から、週1回の症例検討会のほか、文献の詳読会を毎月開いています。今月は神経内科分野、来月は循環器内科分野と、毎月テーマは変わります。私が米国にいたときに、スタッフの家で食事しながら文献を読むということがあったのですが、リラックスしながら知識を吸収できて、得した気分になったものでした。そんな経験がありましたので、ここでも同じように、病院の外で食事をしながらの抄読会を開いています。研修医の皆さんからの評判も上々ですよ。

ERは、病院内の連携が難しいと聞きましたが

ERは、救急医部門だけでは成り立ちません。救急は病院全体で担うという考え方が大前提です。あらゆる患者を引き受けるER型救急体制においては、救急初期治療に続く、専門医による治療が不可欠となります。

ここでは、相澤理事長の病院全体で救急やるという考えが各科に伝わっていますし、実際に皆がその考えを行動に示してくれます。専門科の先生との連携で困ったことはありません。病院全体が救急をやるという方針と、優秀な専門科のバックアップ、これがERには不可欠ですし、ここにはそれがあります。

病院全体の意識の話をしましたが、これは医師だけではありません。ここでは、看護師などの医療職はもちろん、事務の方も、皆で救急をやろうという意識を持っています。事務の方が、トリアージの勉強会や症例検討会に来て勉強しています。皆がこういう気持ちで働いていますから、皆のサポートを感じられる働きやすい職場です。

松本からERの素晴らしさを発信しましょう

松本はいい街ですよ。夏休みになって、子供を連れて家の近所を歩いていたら、家から10分くらいのところに、きれいな澄んだ川が流れていて、子供が飛び込んで遊び始めたくらいです。こんなこと、大都市じゃ考えられない。きれいな山、水があって、空気も美味しい。街としては大きすぎず、小さすぎず、いい街です。子供連れだとなおさらいい所だと思いますよ。

相澤病院のERは、まだまだ伸びる余地があります。幅広い患者さんを診ることに楽しみを覚え、学問的に興味を持っていて、ERの仲間をどんどん増やしたい、そんな気概を持った方、大歓迎です。

専門科の医師や看護師、事務の方まで含めた病院全体のバックアップ、家族に優しいシフト制の勤務、美しい松本の街、ERで思う存分腕をふるっていただける環境がここにはあります。

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