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〈2022年4月改訂>「オンライン診療の適切な実施に関する指針」のポイントを紹介

2022年1月、厚生労働省が「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(以下、「オンライン診療指針」といいます。)を一部改訂し、時限的・特例的措置とされていた「初診からのオンライン診療」が制度化されました。

また、更新されたQ&Aでは、「オンライン診療のみで治療が完結することもあり得る」としました*。

本記事では、オンライン診療指針の要点をご紹介します。

*出典:厚生労働省「オンライン診療の適切な実施に関する指針」平成30年3月 (令和4年1月一部改訂)

「初診からのオンライン診療」が実施可能となる3つのケース

オンライン指針の改訂で新たに「初診からのオンライン診療」が実施可能と明記されたのは、以下の3つのケースです。

ケース1:「かかりつけの医師」が行う場合

「かかりつけの医師」とは、指針の中で「日頃から直接の対面診療を重ねている等、患者と直接的な関係が既に存在する医師」と定義づけられています。

「初診からのオンライン診療」は、対面診療に比べて得られる情報が少なく、また医療行為の実施もかなわないません。

よって、初診のオンライン診療は「かかりつけの医師」が行うことが原則であると指針には明記されました。

ケース2:「医学的情報」が十分に把握でき、患者の症状と合わせて医師が可能と判断した場合

この「医学的情報」とは、「既往症、服薬歴、アレルギー歴等の他、症状から勘案して問診及び視診を補完するのに必要な情報」とされています。

これらの情報を「過去の診療録、診断情報提供書、健康診断の結果、地域医療情報ネットワーク、お薬手帳、Personal Health Record等」から把握でき、患者の症状と合わせて医師が可能であると判断した場合にも、初診からのオンライン診療が可能とされています。

ケース3:初診前に、医師が「診療前相談」を行う場合

この「診療前相談」とは、医師と患者間で映像を用いたリアルタイムのやりとりを行い、医師が患者の症状とともに医学的情報を確認する行為のことを言います。

具体的には、以下のいずれかに該当する場合には、医師が「診療前診断」を行った後に、引き続いてオンライン診療をすることが可能です。

  • かかりつけの医師がオンライン診療を行っていない場合や、休日夜間等でかかりつけの医師がオンライン診療に対応できない場合
  • 患者にかかりつけの医師がいない場合
  • かかりつけの医師がオンライン診療に対応している専門的な医療等を提供する医療機関に紹介する場合や、セカンドオピニオンのために受診する場合

対面受診の必要性や初診で行えない処方に留意

「オンライン診療指針」には、安全に実施していくため、以下の点に留意すべきであると明示されています。

オンライン診療が適さない場合には、対面の受診を

一般社団法人日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診に適さない症状」**を踏まえて医師が判断し、オンライン診療が適さない場合には対面診療の実施が必要です。

特に、緊急性が高い症状の場合には、医師が患者に速やかに対面受診を促さなくてはなりません。

**一般社団法人日本医学会連合「⽇本医学会連合 オンライン診療の初診に関する提⾔」

初診がオンラインの場合には行えない処方もある

初診からのオンライン診療の場合や新たな疾患に対して処方を行う場合には、一般社団法人日本医学会連合が作成した「オンライン診療の初診での投与について十分な検討が必要な薬剤」***等のを参考に行うべきであるとされています。

また、初診の場合には、以下の処方は禁止されています。

  • 麻薬とともに向精神薬の処方
  • 基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する、特に安全管理が必要な薬品(診療報酬における薬剤管理指導料の「1」の対象となる薬剤)の処方
  • 基礎疾患等の情報が把握できていない患者に対する8日分以上の処方

***一般社団法人日本医学会連合『⽇本医学会連合 オンライン診療の初診に関する提⾔』内に『オンライン診療の初診での投与について十分な検討が必要な薬剤』として記載

オンライン診療の新点数と施設基準

コロナ禍の時限特例措置として大幅に緩和されて運用されていた「オンライン診療」ですが、厚生労働省は2022(令和4)年に公表した事務連絡****の中で、新施設基準により診療報酬の算定点数が変わることを以下のように示しました。

新施設基準を満たす医療機関で、初診からのオンライン診療を行う場合には新点数「251点」

2022(令和4)年4月以降、2022年度診療報酬の改定を踏まえた新施設基準を満たす医療機関で初診からのオンライン診療を行う場合には、新点数「251点」を算定することが可能になりました。

新施設基準を満たさない医療機関で、初診からのオンライン診療・電話診療を行う場合には「214点」

新施設基準を満たさない医療機関が、コロナ禍の臨時特例として初診からのオンライン診療・電話診療を行う場合には、今までと同様に「214点」算定継続が認められますが、新施設基準に準じた体制を整備するよう最大限努めていくことが求められます。

「情報通信機器を用いた診療」の施設基準とは

そもそも、新点数算定の根拠となる新施設基準とはどのようなものなのでしょうか。
厚生労働省は「令和4年度診療報酬改定の概要 個別改定事項Ⅱ (情報通信機器を用いた診療)」*****の中で、情報通信機器を用いて診療を行う上で十分な体制が整備されているものとして、以下の要件を満たすことを挙げています。

  • 保険医療機関外で診療を実施することがあらかじめ想定される場合は、実施場所が厚生労働省『オンライン診療の適切な実施に関する指針』(オンライン指針)に該当しており、事後的に確認が可能であること
  • 対面診療を適切に組み合わせて行うことが求められていることを踏まえて、対面診療を提供できる体制を有すること
  • 患者の状況によってその保険医療機関において対面診療を提供することが困難な場合に、他の保険医療機関と連携して対応できること
  • オンライン指針に沿って診療を行う体制を有する保険医療機関であること

なお、こちらの施設基準の届け出については、2020(令和4)年4月1から算定を行うためには、2020(令和4)年4月20日(水)までに、届出を行う保険医療機関等の所在地を管轄する地方厚生(支)局へ届出が必要となるため、注意が必要です。

****厚生労働省 事務連絡「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いについて(その67) 」

*****厚生労働省『令和4年度診療報酬改定の概要 個別改定事項Ⅱ (情報通信機器を用いた診療)』

「オンライン診療料」が初診や再診における診療報酬の中に盛り込まれ、保険点数としても対面診療と比べて約87%の報酬がもらえるようになったことで、今後オンライン診療の医療機関への普及はさらに加速していくものと考えられます。

コロナ禍が長引く昨今では、オンライン診療のアルバイト(非常勤)募集も増えています
姉妹サイト「Dr.アルなび」にはオンライン診療の案件も掲載していますので、気になる方はぜひチェックしてみてくださいね。

Dr.転職なび編集部

ライター

Dr.転職なび編集部

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