医師の「Uターン転職」「Iターン転職」といえば、以前は「実家の医療機関を継ぐため」などの特別な事情がなければ珍しいことでした。
しかし現在は状況が変わり、医師転職の選択肢のひとつとして注目が高まっているのをご存知でしょうか。
特に近年は、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに今までの働き方を見直した結果、都心部から地方に移住して働くという転職事例も増えています。
今回は、医師の「Uターン転職」「Iターン転職」が注目を集める背景やメリット、検討するうえで知っておきたいポイントなどを詳しく解説します!
目次
医師の偏在による「地方の医師不足」
医師の偏在が深刻な日本では、東京など都市部の医療機関に医師が集中する反面、地方では医師不足が大きな課題となっています。そのため 「地方で働く医師」のニーズは非常に高い 状況が続いています。
医師の多いエリア、少ないエリア
厚生労働省の「 令和2(2020)年 医師・歯科医師・薬剤師統計の概況 」によると、全国における人口10万人あたりの医師数は256.6人。
さらに、都道府県別における状況は以下となります。
医師数は 西日本で多い傾向 があり、最多の徳島県と最少の埼玉県の格差は1.9倍となっています。
また、人口が多く患者数も多くなる 大きな都市でも医師数が多い 傾向がありますが、さらに「研修医を受け入れる大学病院や大規模病院」の集中も影響していると考えられます。
なお、医師数は上記のように都道府県単位でも差がありますが、 同じ都道府県内であってもエリアによる差も出てきます ので、情報収集の際には留意しておきましょう。
医師の「Uターン転職」「Iターン転職」とは?
ここで、医師の「Uターン転職」「Iターン転職」とはどんな働き方を指すのか、そして どんな状況にある医師がそれらを検討しているのか、確認していきましょう。
「Uターン転職」を目指す医師の特徴や背景
「Uターン転職」とは、生まれ育った故郷や学生時代を過ごした地域から都心へ出て働いていた方が、再びその土地に戻って就職することをいいます。
よくある事例としては、 実家の医療機関を継ぐ 、親の介護などや実家からの子育てのサポートを受けたいなど 家庭の事情から地元に戻ることになるケースです。
「I ターン転職」を目指す医師の特徴や背景
もう一方の「Iターン転職」は、現在勤務しているエリアから別のエリアへ移住して就職することをいいます。
「Iターン転職」は 40~50代の医師が希望するケースが多い 傾向があり、都心部の医療機関でキャリアや経験を積み、その先の活躍の場として地域医療を選択し転職するという事例も増えています。
また同時に、 若手医師が転職する際の選択肢としても注目 されています。
都心部の大きな医療機関では研修医や若手医師も多いので、経験を積むまでに時間がかかってしまう場合があります。
その点、地方の医療機関であれば 短期間で幅広く、多くの症例を経験することが期待できます。
特に、 将来ジェネラリストの医師を目指す のであれば、若手のうちに地方で働くことのメリットは大きいでしょう。
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都心部勤務の医師と 地方勤務の医師の「年収差」
次に、都心部と地方の医師の平均年収についてみていきましょう。
一般企業の平均年収は、都心ほど高く 地方ほど低くなる傾向がありますが、医療職の場合はその反対。
つまり、 地方に所在する医療機関の求人ほど、平均年収が高く なる傾向がみられます。
医師の平均年収における地域差
実際に、都心部と地方で平均年収にどのくらいの差があるか確認してみます。
以下は、医師数が最も多い「内科」求人の基本給与の平均額(下限)を、人口の多い大都市圏3エリアと平均額が高い3エリアで比較したデータです。
※2022年5月現在 Dr.転職なびで掲載されている求人情報をもとに算出(「給与応相談」など下限給与額の記載がない求人を除く)
上記のように基本給与の平均額が高いエリアには、都心部から離れた地方の都道府県がランクインしており、 地方は都市部よりも高い給与額となる傾向 がみられます。
この特性を活かして、 収入アップを目指す医師が「Uターン転職」「Iターン転職」を検討する ケースも増えています。
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地方勤務の医師の年収が高い理由
慢性的に医師不足が深刻なエリア では、高額年俸や柔軟な勤務条件などを用意して医師の誘致を図る医療機関も少なくありません。
中には、 週4日・当直なしの勤務で年収2,000万円以上も可能 という求人もあります。
ただ、その分 医療機関が医師に求める期待値も高まっています。
入職後に長時間労働が発覚したり過重な責任を負うことになったり「こんなはずじゃなかった…」というミスマッチを防ぐため、実際の勤務時間や対応業務の範囲については詳細に確認しておきましょう。
「Uターン転職」「Iターン転職」のメリットと気を付けたいポイント
最後に「Uターン転職」「Iターン転職」のメリットと、気を付けたいポイントをまとめてご紹介します。
これから実現したいキャリアやライフスタイルと照らし合わせながら、確認してみましょう。
メリットは「年収アップやQOLの改善が期待できる」こと
【1】年収アップ
医師不足が深刻な地域では、医師誘致のため年俸が高額のケースが多くなっています。
また、希望額への条件交渉が実現する可能性も、都心部よりも高い傾向があります。
【2】柔軟な働き方
医師の誘致に力を入れている地域では、週4日勤務や当直の免除、時短勤務などの待遇改善にも熱心です。
医師の業務負担に配慮し、一人ひとりのライフスタイルに合わせて勤務条件を調整する医療機関は決して珍しくありません。
【3】 生活環境の改善
借り上げの住宅が用意されていたり、都心部と同じ家賃でより広い家に住むことができたりと、居住環境が都心部よりも改善するケースがあります。
また、満員電車や渋滞といった通勤時の負担が軽減される、(実家近くの地域へのUターンの場合は)家族から子育てをサポートしてもらえるようなケースもあるでしょう。
【4】地域医療への貢献
生まれ育った地元の医療に貢献したい、という思いがきっかけで「Uターン転職」を選ぶ医師もいます。
また、地方の出身ではなくても医学生時代に学んだ地域医療で関心が生まれ、「Iターン転職」を検討するというケースもあります。
「都心勤務とは異なる点」は、あらかじめ確認しておこう
【1】 高齢者の割合
一般的に地方は都心部よりも高齢人口の割合が高くなるため、高齢者の地域生活を支える医療に携わる機会がメインとなります。
【2】診療や治療に必要な設備の充実度
都心部と比較すると、高度な医療設備を有している医療機関の割合はどうしても低くなるため、最先端の医療などの実施が難しいケースも出てきます。
【3】医師の業務負担
医師が少ない地方では、総合診療的な医療が求めらるため、医師一人あたりの業務負荷が増えてしまいがちです。
ミスマッチを未然に防ぐためには、転職コンサルタントを利用した詳細な情報収集が有効です。
【4】周辺環境、ライフスタイル
特に家族を伴う転居が必要になる場合は、ご自身のみならず家族のライフスタイルの変化も大きなものとなります。
周辺の教育環境や交通事情などの詳細情報を集めたうえで事前に訪問してみる等、じっくりと検討しましょう。
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注目度が高まるUターン転職やIターン転職。
キャリアの選択肢の一つとして、検討してみてはいかがでしょうか。