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救急医の平均年収・勤務内容は?専門医のキャリアパスや働き方も解説

救急医の平均年収や勤務内容などを解説

毎年9月9日は、きゅう・きゅうの語呂合わせから「救急の日」とされているのをご存知でしょうか。

これは、1982年に厚生労働省と総務省消防庁が 救急医療及び救急業務に対する国民の正しい理解と認識を深め、救急医療関係者の意識の高揚を図ることを目的に定めたものです。

この救急の日を含む1週間は「救急医療週間」として、AED(自動体外式除細動器)の使用方法や心肺蘇生法、家庭でもできる応急処置の講習などのイベントが各地で開催されます。

このように救急医療やそれに携わる救急医は一般の人にも馴染みが深く、テレビドラマや映画の題材になることもしばしばあります。

患者さんの生死に直面しながら、緊張感あふれる現場で働く医師。

激務のなかでも、大きなやりがいをもって医療に向き合っている医師。

といったドラマチックなイメージが強い救急医ですが、実際はどのような働き方をしているのでしょうか。

本記事では、そのような救急科に従事する医師のキャリアパスや年収などの事情をご紹介します。

救急医のキャリアパス

救急科の医師も他科の医師と同じく、医学部を卒業し医師国家試験に合格後は、初期研修医として内科や外科など一通りの診療科で2年間勤務します。

この2年間で救急部門において12週以上研修すること(※)とされています。

つまり、初期研修において全ての医師は救命救急の現場を必ず経験するということです。

(※)厚生労働省「医師臨床研修指導ガイドライン-2020 年度版-

この初期臨床研修時のローテーションで救急医療の現場にふれたことがきっかけとなり、自分の専門を「救急科」にすると選択する医師も多くいます。

そのような医師たちは後期研修医として、さらに専門性を磨いていきます。

具体的には、病院群が提供する研修プログラムに応募し、3年間の研修を受けます。

この研修終了後に、ようやく専門医試験を受ける資格を得ることができます。

そして専門医試験に合格することで、日本救急医学会から「救急医」の認定を受けることができます。

ほかの診療科から救急科へ転科する医師もいる

他の診療科での実務経験を積むなかで救急分野への理解が深まり、救急医を目指して転科や転職をする医師もいます。

救命救急では患者の命を救うために、常に最前線で診察や治療を行います。

ゆえに、数ある診療科目の中でも、最も実践スキルが身に付く診療科であるとも言えます。

臨床研究に力を注ぐのではなく、医師としての臨床経験をいち早く重ねたいという医師や、培ったスキルを活かしていずれは開業をしたいと考えている医師にとって、魅力の大きい診療科といえます。

救急医の勤務内容は?

救急医の勤務内容は?

救急科の医師は、病気やけがなどによる急病の患者を診療科に関係なく診療します。

そのため、軽症患者を多く診る初期診療から、心肺停止やショック患者など重傷者への救命救急処置や集中治療にいたるまでの一貫した診療スキルが求められます。

また 院内での対応はもちろんのこと、院外で災害や大事故などが発生した場合には現地に赴き、救急医療の知識と技能を活かして消防や救急隊などともに対応を行うこともあります。

このように救急科は、数ある診療科のなかでも特に幅広い対応力や診療スキルを要する診療科であるといわれます。

病院前救急医療

多数傷病者が発生する事件や事故、災害が起きたときに、救急医はドクターカーやドクターヘリなどで直接現場に赴いて医療を行います。

発症や受傷から可能な限り早く治療を開始することで、重症患者の救命につなげます。

救急医は重症度評価と優先度順位判定(トリアージ)を行い、傷病者を安全に医療機関へ搬送するための必要最低限の現場処置行います。

そして消防隊や救急隊など各プロフェッショナルチームと連携して、傷病者を適切な医療機関へ適切な時間内に搬送することに全力を注ぎます。

災害医療

地震や津波による自然災害や、テロなどの人為災害があった際に対応を行う災害医療も、救急医が最前線で活躍する現場です。

救急医は、現場の限られた医療資源を活用してトリアージを行い、必要最低限の治療による人命救助を行うことが求められます。

ER型救急

医療機関に搬送されてくる、軽症から重症までのあらゆる患者の受け入れと初期対応を行います。

脳卒中、心筋梗塞、糖尿病や腎不全、新型コロナウイルスを含む全ての感染症、敗血症になり多臓器不全になった患者、外傷や熱傷、薬物中毒などのあらゆる診療科にわたる救急患者への対応を行うため、救急医には総合的な初期診療スキルが求められます。

そのうえで緊急度や重症度を判断して必要な処置を行ったのち、専門の診療科へ引継ぎを行います。

専門的集中治療

重症の外傷や熱傷、急性中毒、敗血症、DIC(播種性血管内凝固症候群)、多臓器不全などの重症病態の治療においては介入するタイミングが予後に大きく影響するため、早期の治療開始が望まれます。

このような重症患者の救命における初期対応はもちろん、集学的治療においても、救急専門医は非常に大きな力を発揮しています。

救急科の医師数と平均年収は?

救急科の医師数と平均年収は?

全診療科の医師のうち、救急科の医師は わずか1.2%

厚生労働省「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、日本の医療施設に従事する医師の数は339,623人です。

このうち救急科の医師は3,950人で、その割合は全医師の1.2%にとどまっています。

また、厚生労働省「必要医師数実態調査」による救急科の現員医師数は2610.1人となっており、さらに常勤と非常勤合わせて725.9人の増員が必要とされています。

また 労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」において、職場で医師の不足感を感じるとした医師の割合を調査したところ救急科は77.8%となり、最も割合が高い麻酔科(81.7%)に次ぐ医師の不足感が高い診療科であることが示されています。

救命のために尽力し社会から高いニーズのある救急医療ですが、これらのデータからは実際に従事している救急医の数は絶対的に不足しているという状況がみえてきます。

救急医の平均年収は、1,215.3万円

労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」による全診療科の医師の平均年収は、1,261.1万円となっています。

一方の救急科の医師の平均年収は1,215.3万円で、全診療科の平均を下回る水準です。

診療科平均年収
脳神経外科1480.0
産科・婦人科1466.3
外科1374.2
麻酔科1335.2
整形外科1289.9
呼吸器科・消化器科・循環器科1267.2
内科1247.4
小児科1220.5
★救急科★1215.3
その他1171.5
放射線科1103.3
眼科・耳鼻咽喉科・泌尿器科・皮膚科1078.7
全体平均1261.1

※労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」をもとに作成

救急科の平均年収は、二極化の傾向がみられる

ただし、救急科で最も多い年収帯は「1,500~2,000万円未満」で、その割合は25%にものぼります。

さらに「2,000万円以上」も15.6%となっており、約4割の救急医は高い水準の年収となっています。

救急科_主たる勤務先の年収救急科全体に占める割合
300万円未満0.0
300~500万円未満6.3
500~700万円未満12.5
700~1000万円未満18.8
1000~1500万円未満21.9
1500~2000万円未満25.0
2000万円以上15.6

一方で年収1,000万未満の医師は全体の37.6%を占めており、救急医の平均年収は二極に分かれている傾向が示唆されます。

救急科で転職を考える際の4つのポイント

救急科で転職を考える際の4つのポイント

最後に、救急科への転職を検討する際に気をつけるべき点をご紹介します。

転職希望先が資格取得に必要な条件等を備えているか、もれなく確認していきましょう。

担当する業務

院外で実施する病院前救急医療と、院内で実施するER型救急、専門的集中治療のうち、どの領域で経験を積みたいのかによって、検討すべき施設は変わってきます。

自身のキャリア形成も考慮しながら優先順位をつけていきましょう。

また、ドクターカーやドクターヘリを有する医療機関はかなり限定されます。そのため、これらを有する医療機関を希望する場合には、検討エリアを広めに設定することが望ましいでしょう。

症例数

日本救急学会の認定する救急専門医を取得するためには、実務経験も必須となっています。

救急搬送応需率と手術実施件数は、事前に確認しておきましょう。

医師体制

救急科は、内科や脳神経外科、心臓血管外科など他科から転科してくる医師も多い診療科です。

どのような専門性を有する医師が在籍しているのかという点も、重要な検討材料になります。

また専門医取得実績なども、教育体制の充実度に関する指標とできるかもしれません。

医師の働きやすさ

いつ来るか予測のつかない重症患者の対応や災害時対応など、多様な役割を求められる救急科の医師は、業務予定の見通しが立たないケースがほとんどです。

ワークライフバランスが重視される昨今の転職市場では敬遠されがちな労働環境ですが、徐々に「シフトワーク」を取り入れる医療機関も増えています。

オンとオフをしっかりと切り分けることで、英気を養うための休息や、家族や友人との時間、育児や研究に費やす時間も確保することができます。

救急科というと「激務」「燃え尽き症候群」といったイメージがあるかもしれませんが、実は医師の働きやすさを大切にしている施設も多くあります。

若手医師だけでなく、一生続けていくことができる診療科として選ばれるケースが 今後はより増えていくでしょう。

秒単位、分単位で適切に判断し、一瞬の油断も許されない厳しい現場に立ち続ける救急科の医師たち。

大きなやりがいがある仕事に携わり、多くの患者に必要とされている存在です。

具体的な労働環境や年収帯、そして働きやすさの度合いは施設ごとで大きく異なります。

救急科で転職をしたいとお考えの医師の方や、他の診療科から救急科への転科を検討している医師の方は、自身がどのようなことを重視していきたいか、譲れない条件はどのようなことかを整理したうえで、多角的な情報を集めていくことをお勧めします。

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データ参照元▼
厚生労働省「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計

厚生労働省「必要医師数実態調査

労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査

Dr.転職なび編集部

ライター

Dr.転職なび編集部

医師の転職、キャリアアップ応援コンテンツを提供する「Dr.なび」編集部です。医師転職サービスを提供する株式会社エムステージが運営しています。

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