医師が「医局人事から離れたい」「いまの職場を退職して、他の医療機関で働きたい」と考えるとき、どのような方法で転職先を探しているのでしょうか。
本記事は、多くの医師が転職活動で利用する「転職エージェント」のメリットやデメリット、そしてよくある疑問について分かりやすく解説します。
医師が転職エージェントを利用するメリット・デメリット
医師が転職先を探すときには、知り合いからの紹介を受ける「知人の伝手」やインターネットなどで情報を集めて「医療機関に直接コンタクトを取る」方法、そして「転職エージェントを活用する」という方法があります。
以前は「知人の伝手」が医師の転職方法としてメジャーであるという印象がありましたが、昨今では、転職エージェントを利用して転職をする医師も多くなっています。
医療機関側でも、転職エージェントから紹介される医師を主軸として採用計画を立てている病院やクリニックが増加しているようです。
医師の転職エージェントとは?
転職活動では、条件の優先順位を整理し、その希望に合う勤務先を自分自身で探していくことになります。
そのようなときに、大きな力となってくれるのが転職エージェントです。
転職エージェントに登録をすると、様々な求人の紹介や、面接対策や雇用契約の締結、退職交渉のアドバイスなど、転職活動のあらゆる場面におけるサポートを受けることができます。
この転職エージェントの中には、医師のキャリアサポートに特化している転職エージェントがあります。
医師の働き方は特殊な面もあり、医療に関する専門的な知識も必要となるため、一般的な求人サイトでは医師の募集を扱っていません。
医師に特化した転職エージェントであれば、多くの医師募集の情報を入手することができますし、医師のキャリアや医療分野の知識に精通しているコンサルタントも在籍しています。
多くの医師は、一般企業に入社するために行う就職活動なるものを経験することなく働きはじめた方が多いのではないでしょうか。
そのため、「いざ転職活動を進めようと思っても、何から始めたら良いのか分からない」という声も多く聞かれます。
このような医師とって、転職活動全般のサポートをしてくれる医師の転職エージェントは、利用するメリットが大きいものといえます。
医師が転職エージェントを利用する6つのメリット
次に、医師が転職する際にエージェントを利用したほうが良い具体的な理由をご紹介します。
メリット1:仕事選びの選択肢が大幅に増える
入手できる求人情報は多ければ多いほど、選べる働き方が広がります。
病院やクリニック等のホームページで公開されている求人情報は、実はほんの一部にすぎません。
一方、転職エージェントを利用すると、圧倒的に多くの求人情報を得ることができます。
また、一般には公開されず、自分でリサーチするだけでは見つけることができない非公開求人を紹介してもらえることも、転職エージェントを利用する大きなメリットです。
非公開求人は「好条件で応募の殺到が予想される」「他の医療機関に、自院の採用活動や経営戦略を知られたくない」といった理由から、医療機関が医師の転職エージェントだけに限定して公開している募集です。
一般的に非公開求人は条件が良いケースが多いため、年収アップやキャリアアップを目指す転職を考えるのであれば、この非公開求人はぜひチェックしておきたいところです。
なお「Dr.転職なび」でも、全体の90%を超える求人は 会員の先生限定でご案内している「非公開求人」です。
メリット2:外からは見えにくい医療機関の内情を教えてもらえる
独力では集めることが難しい医療機関の内部情報も、日常的に医療機関とコミュニケーションを取っている転職エージェントには集まってきます。
どのような背景を持つ医師が働いているのか、どのような症例や患者層が多いのか、働きやすさに配慮した環境や制度はあるか、当直やオンコールで対応はするのはどのような症例が多いのか等、医療機関を担当する営業やコンサルタントが実際に足を運んだり電話で聞き取ったりした情報や、実際に勤務した医師からの口コミ情報などが、随時蓄積されているからです。
このような求人票には掲載されない、実際にその医療機関を訪れたことがある人や働いたことがある人でないと分からないような勤務事情を知ることができるだけでも、転職エージェントを利用する価値は高いといえるのではないでしょうか。
多くの転職エージェントでは、情報収集だけの相談も受け付けています。
まだ転職するか分からないという段階でも、情報が常に入ってくる環境を作っておくことで、今まで気付かなかったような働き方の選択肢に出会えるかもしれません。
メリット3:事務的な作業や求人探しを代行してもらえる
医師の転職では、在職中に転職活動をするというケースが大半です。
しかし、「ただでさえ多忙なのに、転職活動のために時間を捻出することは難しい」と考えている方も多いのではないでしょうか。
たしかに、自分ひとりで転職活動をする場合には、病院やクリニックの採用担当者と直接コンタクトを取らなければならないため、手間と時間がかかります。
一方で転職エージェントを利用した転職活動では、医療機関とのやり取りなどの事務的な作業はすべてコンサルタントが代行してくれるため、医師の負担を大きく軽減できます。
また、求人探しもコンサルタントに任せることができます。
膨大な数の医師募集の中から自分の希望条件を満たす求人だけをピックアップして紹介してくれるので、情報収集や求人の比較検討がスムーズに進みます。
このように、転職エージェントのコンサルタントは、医師の転職活動における秘書のような役割も担当しているのです。
メリット4:条件交渉を代行してもらえる
医師の求人サイトで、完璧に自分の希望条件と合致している求人と出会えるケースはかなり稀といえます。
また医師の求人票では、「〇万円~〇万円」というように年収帯に幅を持たせてあることも多く、不確定な要素も記載されています。
そのため、「もう少し、ここがこうだったら…」「自分の場合は、どんな条件になるんだろう?」という部分が少なからず出てきてしまうのです。
また知人からの紹介である場合には、遠慮から自分の希望を正直に伝えづらい、条件の交渉がしづらいといったケースも考えられます。
独力または知人の伝手で転職先を探している場合には、「条件を妥協する」もしくは「諦めて他の募集を探す」という二択になってしまいます。
一方、医師の転職エージェントを利用する場合には、医師本人に代わってコンサルタントが条件の確認や交渉をしてくれます。
医師の転職エージェントに在籍するコンサルタントは、多くの医師の転職サポートに携わってきた医師転職のプロ。
そのため、医師側の希望だけではなく医療機関がどのような医師を望んでいるのかも把握しています。
医療機関への効果的なアピール方法や交渉方法も熟知した上で、双方の意向をくみ取りながら納得できる条件で転職ができるように医療機関へ働きかけてくれます。
希望の働き方にこだわりたい、妥協できない条件がある医師の方は、条件交渉のプロでもあるコンサルタントを味方につけて転職活動を進めるのがおすすめです。
メリット5:条件確認や雇用契約の書面作成をしてもらえる
転職活動のなかで、細かく労働条件を確認したり、条件を交渉したりすることに対してなんとなく気後れしてしまうという方は少なくありません。
しかし、気になる部分や不安な部分を確認できないまま転職してしまった場合には、納得できない条件での仕事に不満が募った結果、すぐに別の医療機関へ転職してしまうということにもなりかねません。
そのため、納得いくまで条件を確認することは、医師の転職においてとても重要なステップといえます。
転職エージェントを利用する場合には、コンサルタントが自分に代わって勤務条件や業務内容、年収等を詳細に確認してくれますし、労働条件を雇用契約書などの文書にまとめるようサポートもしてくれるので安心です。
知人の紹介や直接病院とやり取りする場合には、勤務条件などが口約束になってしまうケースもあり、いざ転職してみると事前の希望通りに働けないといったケースも起こりえます。
入職後の無用なトラブルを避けるためにも、勤務条件はしっかりと確認したうえで文書を作成し、双方で合意が取れた状態としておくことが大切です。
メリット6:退職に関するアドバイスや入職後のフォローがある
医師の転職活動は、「転職先が決まったら終わり」とはいきません。
在職中に転職活動を行う場合には、ここからが正念場です。
退局の意向を現在の勤務先に申し出たのちに退職手続き、業務や患者さんの引継ぎなど、内定が出た後に円満退職に向けてやるべきことは実はたくさんあります。
この期間をどう過ごすかは医師の転職において大きなポイントとなるため、多くの医師の転職をサポートしてきた経験者であるコンサルタントからのアドバイスは、心強い存在といえます。
退職意向の伝え方やタイミング、引き留めがあった場合の対応の仕方、退職までの過ごし方など、実際に転職した医師たちが経験してきた事例を含めた「円満退職をするためのポイント」は、転職を検討する医師であれば聞いておいて損はない情報です。
また、転職した後もコンサルタントは定期的に連絡をくれることが多いので、もしも転職先で困ったことや悩みがあれば気軽に相談してみるといいでしょう。
医師が転職エージェントを利用するデメリット
ここで、転職エージェントを利用する医師が知っておきたいデメリットについても解説します。
定期的に担当者との連絡を行う必要がある
コンサルタントは医師の意向を把握したうえでリサーチや条件の調整を行っていくため、どうしても医師へ連絡をする機会が増えてしまいます。
あまりに頻繁な連絡で負担を感じる場合には、連絡が可能な時間帯や連絡方法などの希望をコンサルタントに正直に伝えるようにしましょう。
また、転職エージェントに登録する際には「備考欄」に連絡に関する希望を記入しておくと、それに応じた連絡をしてもらうことも可能です。
それでも希望を守ってもらえない場合には、担当のコンサルタントを変更してもらう、他の転職エージェントを利用してみるという方法で対処してみましょう。
医師の転職エージェントに登録すると損?よくある3つの誤解
最後に、医師が転職エージェントに対して抱く誤解を3つご紹介します。
転職エージェントを利用すると、年収が下がる?
「転職エージェントを介して転職すると、自身の給与からエージェントへの手数料が引かれるため、年収が低くなってしまうのでは?」というご質問をよくいただくことがありますが、実際には転職エージェントを介すことで医師に提示される給与が減ってしまうということはありません。
コンサルタントは、医師が希望する年収額を最大限実現できるように医療機関との交渉に尽力しています。
そのため転職エージェントを介した方が、医師が独力で転職活動を行う場合よりも良い条件で転職ができる可能性は高まると考えられます。
転職エージェントを利用すると、転職することを急かされる?
「転職エージェントを利用すると、コンサルタントが実績を上げたいために転職を急かされてしまうのでは?」といったイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれませんが、これも大きな誤解です。
転職エージェントは、医師との信頼関係と同時に、医療機関との信頼関係も大切にしています。
この医療機関との信頼関係がなければ、転職を希望する医師のニーズを満たすような案件を紹介することもできませんし、会社を運営するための収益も得られなくなってしまいます。
もし医師を急かして転職を成立させたとしても、その医師の希望と転職先がしっかりマッチしていなければ、早期退職することにもなりかねません。
このような場合には、医師だけでなく医療機関側からの信頼も失ってしまい、転職エージェントにとって大きな痛手となります。
とはいえ、自身の実績のために転職を急かすコンサルタントも中には存在するかもしれません。
このような担当に当たってしまわないためにも、信頼できる転職エージェントを見極めて利用することが大切です。
転職エージェントを利用すると、周囲に転職活動が知られてしまう?
転職活動は、できるだけ人に知られることなく進めたいものですよね。
だからこそ、転職エージェントに登録すると「今の職場に、転職の意向を知られてしまうのではないか」「知り合いの医師に知られてしまうのではないか」という心配が出てくることは当然です。
しかし転職エージェントのコンサルタントには、守秘義務があります。
求人への応募時など必要なタイミング以外で、登録医師の情報を外部に漏らすことはありませんので、ご安心いただければと思います。
多くの転職エージェントは、個人情報を厳重に取り扱っており、転職エージェントのホームページ等では個人情報の取り扱いやプライバシーポリシーに関する記載があるはずなので、一度確認しておくとより安心して利用できるでしょう。
私たちが運営する「Dr.転職なび」も、医師のキャリアサポートに特化した医師専門の転職エージェントです。
医師の転職エージェントは多くありますが、「Dr.転職なび」ならではの大きな特徴は、コンサルタントが全員、医療経営士(※)の資格を有しているということです。
医師転職支援の経験が豊富で、医療業界にも明るい担当者が、医師一人ひとりの希望にしっかりと寄り添ってサポートいたします。
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