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「リハビリテーション科専門医」になるには?取得のメリットや、リハ医の仕事内容、働き方の特徴も解説

「リハビリテーション科専門医」になるには?取得のメリットや、リハ医の仕事内容、働き方の特徴も解説

超高齢社会を迎え、健康寿命の延伸やQOLの向上が重視される現在の日本において、リハビリテーション医療への期待はますます高まっています。

本記事では、リハビリテーション科で働く医師の仕事内容や働き方の特徴、年収事情、そしてリハビリテーション科専門医を取得するための方法をご紹介します。

リハビリテーション科の医師数と活躍する場所

リハビリテーション科の医師は、全国で約2,900名

厚生労働省が公表している「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」には、リハビリテーション科で働く医師の数や分布状況が記載されています。

本調査によると 医療機関に従事するリハビリテーション科の医師(以下 リハ医)数は2,903名です。

勤務先となる医療機関の種別に見てみると、病院に勤務するリハ医は2,742人、診療所に勤務するリハ医は161名であり9割を超えるリハ医が病院で働いていることが分かります。

リハ医には、病院をはじめとした「幅広い活躍の場」がある

リハビリテーション医療への社会的ニーズの高まりから、リハビリテーション病床を増床する総合病院や、回復期リハビリテーションを専門とする医療法人も増えています。

なお病院以外にも、最先端治療に取り組む大学病院や在宅医療等、リハ医には幅広い活躍の場があります。

大学病院においては、まだ確立されていない治療法について研究を行い、最適な治療法の確立に貢献することが期待されます。

また患者が暮らす居宅や施設に赴いて行われる在宅医療では、維持期にある患者の生活サポートを主に行い、包括的に地域を支える役割も担います。

多くの医療機関が、リハ科の「医師不足」に悩んいでる

このように医師にとっては活躍する場が多い一方、リハビリテーション科の「医師不足」に悩む医療機関は多くあるようです。

厚生労働省の「必要医師数実態調査」では、診療科別の必要医師数(※1)の調査結果が記載されており、リハビリテーション科の必要医師数は499.2名、倍率(※2)は1.29倍となっています。

これは全診療科の平均倍率の1.14倍を大きく超え、産科の1.24倍や救急科の1.28倍を抑えて最も高い倍率です。

(※1)常勤求人医師数と非常勤求人医師数(非常勤は、週当たり延べ勤務時間数を40時間で除して常勤換算した人数)を合計した値。(※2)現員医師数と必要医師数の合計を、現員医師数で除した値。

このように現状では、最適な医療を実現するために必要な人数のリハ医を採用できていない医療機関が多くあり、医師転職市場ではリハ医の「売り手市場」が続いている状況といえます。

リハビリテーション科における医師の仕事内容と働き方

リハビリテーション科における医師の仕事内容と働き方

続いて、リハビリテーション科で働く医師が担う役割や仕事内容、働き方の特徴を解説します。

リハ医の役割は、多職種連携を円滑にする「司令塔」

リハビリテーション科では、医師と看護師以外にも理学療法士や作業療法士・言語聴覚士・栄養士等の幅広い専門職が参画し、患者の身体機能の維持や回復、社会復帰に向けたサポートを行います。

リハビリテーション科における医師の役割は、最良なリハビリテーションが行われるための計画やプログラムを立案することです。

またリハビリテーションを開始した後には処方や治療を定期的に評価し、ゴール設定の調整も適宜行いながら患者の機能回復や自己実現をサポートできるように関わっていきます。

実際にリハビリテーションを行うのは、理学療法士や作業療法士・言語聴覚士といった専門職ですが、リハ医は多職種で構成されるチーム医療を円滑に進めるための司令官としての重要な役割を担っています。

リハ科では、「ワークライフバランス重視」の働き方も実現しやすい

上述のようなリハビリテーションは、前もって予定された上で行われるケースが大半で、実施される時間帯は基本的には日中となっています。

また回復期リハビリテーション病棟を担当する場合には、救急や急変などによる夜間対応の負担も少なく、比較的 夜間帯の休みを取りやすい労働環境といえるでしょう。

このように拘束される時間が短く、勤務予定の見通しが立ちやすい点は、リハ科の大きな特徴です。

そのため育児や介護など家庭と仕事の両立を希望する医師や、プライベートを重視して働きたいと考える医師がリハビリテーション科へ転科して働くという事例も多くあります。

なお医師転職市場では、経験やスキルを積んできたリハ医だけでなく、整形外科や脳神経外科をはじめとする他の診療科から転科する医師を受け入れてくれる募集もあります。

医療機関が「リハビリテーション科専門医」の採用を希望する理由

また、該当する医師を配置すると診療報酬が上がることから、「リハビリテーション科専門医」を有する医師の採用を切望する医療機関は多くあります

加えて、「リハビリテーション科専門医」は医療に関する広告が可能な資格となっており、病院の集患にも良い影響を与えることが期待されます。

なおこの資格は全国で2,824 人(※3) しか取得していない希少な資格となっているため、既に取得している場合には転職時の強いアピールポイントとなるでしょう。

(※3)令和4 年8月現在。学会認定:1,141名、機構認定:1,683名

参照:一般社団法人 日本専門医機構「日本専門医制度概報【令和4年(2022 年)度版】

「リハビリテーション科専門医」になるには?

多くの病院から求められる「リハビリテーション科専門医」になるには?

最後に、リハビリテーション科専門医の概要と取得するための要件、試験概要をまとめてご紹介します。

リハビリテーション科専門医とは?

日本リハビリテーション医学会のホームページには、リハビリテーション専門医の医師像について以下のような記載があります。

「病気や外傷の結果生じる障害を医学的に診断治療し、機能回復と社会復帰を総合的に提供することを専門とする医師です。専門医の資格は、リハビリテーション科が関与するすべての領域について、定められた卒後研修カリキュラムにより3年以上の研修を修め、資格試験に合格して認定されるものです。」

公益社団法人 日本リハビリテーション医学会「リハビリテーション科専門医とは

リハビリテーション科専門医になる要件

リハビリテーション科専門医を取得するためには、以下の要件をすべて満たした上で資格試験を得て、試験に合格する必要があります。

リハビリテーション科専門医 申請要件

・医師免許取得後5年以上及び日本リハビリテーション医学会加入後3年以上を経過していること。

・日本リハビリテーション医学会の定めた専門医制度卒後研修カリキュラムに基づき日本リハビリテーション医学会が認定する研修施設において3年以上の研修を行ったものであること。

・日本リハビリテーション医学会年次学術集会における主演者の学会抄録2篇を有すること。
尚、2篇のうち1篇は、本医学会秋季学術集会、地方会学術集会に代えることが出来る。
また、地方会学術集会における抄録は、地方会発行の発表証明書でも良いこととする。
学会抄録とは一般演題の他、シンポジウムの演者、特別講演、教育講演の講師としての発表抄録とする。

・自らリハビリテーション医療を担当した30症例の症例報告を提出すること。

・自らリハビリテーション医療を担当した100症例の経験症例リストを提出すること。

参照:日本リハビリテーション医学会「資格・制度_リハビリテーション科専門医認定試験のお知らせ

詳しい要件や申請方法は、日本リハビリテーション医学会のホームページ等でご確認ください。

◆日本リハビリテーション医学会「資格・制度_リハビリテーション科専門医認定試験のお知らせ

リハビリテーション科専門医の試験内容と合格率

上記の要件を満たし書類審査を通過した後は、筆記試験と口頭試験が行われます。

筆記試験は、多肢選択問題が150題出題されます。
なお、既に筆記試験に合格していて同試験の免除期間にある場合には、筆記試験は免除されます。

口頭試験は、分野A(領域1,4,6,8)と分野B(領域2,3,5,7,9)に分けて実施されます。

令和3年度のリハビリテーション科専門医試験は128名が受験しています。
そのうち126名が合格し、合格率は98.4%となっています。

参照:日本リハビリテーション医学会「資格・制度_リハビリテーション科専門医認定試験のお知らせ
一般社団法人 日本専門医機構「日本専門医制度概報【令和4年(2022 年)度版】」

以上、リハビリテーション科で働く医師の仕事内容や働き方の特徴、年収事情、そしてリハビリテーション科専門医を取得するための方法をご紹介しました。

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