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56.2%が「関心あり」医師の開業に適した年齢や、勤務医が開業スキルを習得するための方法とは

56.2%が「関心あり」医師の開業に適した年齢や、勤務医が開業スキルを習得するための方法とは

医師のキャリアの選択肢のひとつに、「開業」があります。

しかし、開業するにあたっては様々な検討事項や手続きが必要になります。

また開業後の不安等からなかなか開業に踏み切れないという先生もいらっしゃるのではないでしょうか。

本記事では会員の先生方を対象に実施した「開業」に関するアンケートの結果をご紹介しながら、医師の開業への関心状況や開業に適した年代、開業を検討する勤務医に求められる知見・スキルを習得する方法もご紹介します。

開業に「関心がある」医師の割合とその理由

56.2%の医師は、開業に関心がある

自身のキャリア形成において開業という選択肢に関心があるかどうかを尋ねたところ、過半数の医師が「関心がある」と回答しています(「関心があり、具体的に検討している」「関心はあるが、具体的な検討はしていない」の割合を合計)。

また、開業に向けて具体的な検討を進めているという医師も全体の約1割を占めていることが分かります。

Q:「開業」への関心はありますか?

Q:「開業」への関心はありますか?

医師が開業に関心を寄せる理由やメリットは?

半数を超える医師が開業に関心を持っている理由や、開業のメリットと考えていることはどのようなことなのでしょうか?

「開業に関心がある」と回答した医師から寄せられたコメントを抜粋してご紹介します。

◆自身が理想とする医療を実践できる

自身の診療ポリシーで診療を行うことができるため。(30代/精神科/勤務医(大学病院以外の病院))

・自分で病院の方針を決定できる。(50代/耳鼻いんこう科/勤務医(大学病院以外の病院))

◆年収が上がる

頑張れば頑張った分、給料に反映される。(40代/消化器内科/勤務医(大学病院以外の病院))

・政策および人口ピラミッド上、保険診療の報酬が上がる見通しが乏しい現状で、勤務医はますます得られる収入が少なくなるのではと懸念しているため。(30代/泌尿器科/勤務医(大学病院))

◆柔軟な働き方ができる

自分に合ったスタイルで仕事ができる。(30代/呼吸器内科/勤務医(大学病院))

定年がない。(60代/一般内科/勤務医(健診施設や老健など))

「開業を具体的に検討」する医師が多い年齢層は?

開業を検討する医師が多い年齢層は?

開業には上述のような様々なメリットが期待できる一方で、実際に自身が開業することは躊躇する医師も少なくないようです。

その要因の一つとして「開業時の年齢」があり、以下のような意見も挙がっていました。

・年齢が高くなっており、今から開業は危険だと思う(50代/消化器外科/勤務医(大学病院以外の病院))

今さら感がある。減価償却すら、怪しい。(60代/一般内科/勤務医(診療所・クリニック))

それでは、医師が開業を検討しやすい年齢とは何歳くらいなのでしょうか。

開業を具体的に検討している医師は「30~40代」がメイン

開業に関心があり、具体的な検討を現在進めていると回答した医師の年齢層は、以下の通り「30代」(56.8%)が最多となりました。

次いで「40代」(20.5%)、「50代」(13.6%)の順に多くなっています。

◆開業に関心があり、具体的に検討している医師の年齢層

年齢層

一般的には病院などの勤務先を経て一定程度のキャリアを積んだのちに開業するケースが多く、開業に向けて動き出すのは30代後半から40代の医師が中心となっているようです。

何歳まで?年齢層が高めの医師が開業を検討する場合

一方で、全体に占める割合は高くないものの「60代」の医師にも開業に向けて具体的な検討を進めている方はいます。

このように、ベテラン医師が開業を検討する場合にオススメの開業方法の一つに「第三者承継による開業」があります。本調査でも、60代の医師から以下のようなコメントが寄せられています。

継承案件であれば、この年でも可能と思わないでもない。(60代/循環器内科/勤務医(大学病院以外の病院))

「医業承継」による開業なら、時間や労力を大きく削減できる

近年では少子高齢化による医療費抑制のため診療報酬が下がるなど、医療機関の経営環境は厳しさを増しているといわれ、開業後に経営が安定しないというケースも少なくありません。

そのため、最近ではゼロから自分で立ち上げる「新規開業」ではなく、M&Aによる「医業承継」で開業をする事例が増えています。

医業承継による開業では、開業のために費やす時間や労力を大きく削減することが可能です。
その他にも医業承継による開業には、以下のようなメリットが挙げられます。

患者を引き継げるため、事業の見通しを立てやすい

・雇用されているスタッフを引き継げる

・承継元の前院長が築いてきた信頼関係を引き継げる

このように様々なメリットが期待できることから、より早いタイミングで経営を軌道に乗せたいと考える医師やベテラン医師を中心に「第三者からの医業承継」で開業する医師が増えています

今回の調査でも、開業に向けて具体的な検討を進めている医師の68.2%が「第三者からの医業承継」という開業方法を選択肢としていることが分かっています(「第三者(医療法人を除く)からの承継を受ける」および「医療法人からの承継を受ける」を合計)。

Q:現在、検討している開業方法を教えてください。(複数選択可)

Q:現在、検討している開業方法を教えてください。(複数選択可)

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何が大変?医師が考える、開業のデメリットや懸念点

何が大変?医師が考える、開業のデメリットや懸念点

開業には 冒頭でご紹介したような多くのメリットがある一方、リスクやデメリットも存在します。

・開業はしたいが、リスクもあるため迷うところである。(50代/脳神経外科/勤務医(大学病院以外の病院))

本章では、「開業に関心がない」と回答した医師から寄せられた開業に対する不安要素や懸念事項についてのコメントをご紹介します。

開業するまでの不安要素や懸念事項

◆開業資金

・開業資金の問題。(30代/呼吸器内科/勤務医(大学病院))

手続き

・開業するにあたっての公的機関への手続き等に、とても耐えられそうにない。(40代/眼科/勤務医(大学病院以外の病院))

開業した後の不安要素や懸念事項

開業後に関しては、「経営」に関する不安の声が特に多く寄せられています

勤務医時代には経験することのない経営知識や手腕が求められることや、事業を軌道に乗せて収益を出し、家族や従業員の生活を守っていかなければならないという責務に重圧を感じる医師が多いようです。

その他にも、集患や人事関連・給与計算などの事務作業等、医業以外に必要となる業務に対する不安の声も聞かれました。

◆経営

・売上が少なければ、借金だけが残る不安がある。(50代/一般内科/勤務医(診療所・クリニック))

・医療と経営の知識は、別だと思う。経営のスキルが不足している。(30代/消化器内科/勤務医(健診施設や老健など))

◆集患・口コミ対策

・患者が来るか分からないため。(30代/呼吸器内科/勤務医(大学病院))

・昨今の口コミ対応など、気苦労が多そうに思う。(50代/皮膚科/勤務医(非常勤のみ、フリーランス))

◆採用・マネジメント

・人を雇う、使うことに自信がない。(50代/眼科/勤務医(健診施設や老健など))

◆医業以外の業務量の増加

・給与計算等、医療業務以外の負担が増える。(40代/眼科/勤務医(大学病院以外の病院))

これらのコメントからは、開業に至るまでのプロセスの複雑さや医療経営に関する様々なタスクを遂行することに不安を感じ、開業を検討しない医師が多いという状況がみえてきます。

勤務医が、医療経営の知見やスキルを習得する方法

勤務医が、開業に必要な「医療経営の知見・スキル」を得るための方法

前章で特に多くの声が上がっていた、医療経営の知見やスキル不足に対する不安を勤務医が乗り越えるためには、どのような方法があるのでしょうか。

勤務医が「医療経営」について学ぶ機会は多くない

現在の日本における医学部はあくまで医学を中心に学ぶ環境であるため、これまで経営教育に取り組む機会が無かったという医師も多いのではないでしょうか。

実際に本調査でも、医療経営に関する情報収集や学びの機会を「積極的・能動的に設けている」と回答した医師は、全体の1割以下にとどまっています。

一方で多数派を占めているのは、「忙しいため、なかなか時間を捻出できない」(46.9%)、「学ぶための具体的な方法が分からない」(41.2%)という医師です。

Q: 医療経営について情報収集をしたり、学んだりする機会はありますか?

現在の日本における医学部はあくまで医学を中心に学ぶ環境であるため、これまで経営教育に取り組む機会が無かったという医師も多いのではないでしょうか。

実際に本調査でも、医療経営に関する情報収集や学びの機会を「積極的・能動的に設けている」(8.4%)医師は全体の1割以下にとどまっています。

一方で多数派を占めているのは、「忙しいため、なかなか時間を捻出できない」(46.9%)、「学ぶための具体的な方法が分からない」(41.2%)という医師です。

Q: 医療経営について情報収集をしたり、学んだりする機会はありますか?

それでは開業を検討する医師が「医療経営」を学ぶためには、どのような方法があるのでしょうか。
最後に、勤務医の先生方に是非知って頂きたい二つの方法をご紹介します。

勤務医が医療経営を学ぶ方法①実際にクリニックで働いてみる

一つめは、すでに開業しているクリニックで医師として勤務をしながら、医院経営を学ばせてもらう方法です。

実際に稼働している現場に飛び込んで働くことで、クリニックにおける医師の働き方や経営の実情を「肌感」として理解することができます

なおクリニックが勤務医の募集を行う場合、その募集背景が「増員による医師体制の強化」であれば、クリニックの経営は軌道に乗っていることを意味するケースが大半です。

経営状態が良好な現場で働き学ぶことは、将来ご自身が円滑なクリニック経営を実現していく上での道標となる貴重な体験となるでしょう。

しかし、一般的な求人票において、クリニックの経営状況や募集背景の詳細を知ることは難しくなっています。
とはいえ、医療機関に直接尋ねるのは気が引けるという方も多いのではないでしょうか。

「具体的な検討を進める前に、経営状態や募集背景をきちんと知りたい」とお考えの先生は、医療機関と既に信頼関係を構築できている「転職エージェント」に調査を依頼すると、スムーズに情報を収集できます。

「匿名」状態でも、クリニックの内情を調査・ご報告可能です!

クリニックで働くメリット①クリニックの診療スタイルやトレンドを学べる

既存のクリニックで働くことによって、クリニックならではの実務やルールを働きながら理解することができます

同じ医療機関という範疇であっても、病院とクリニックでは診療や検査・処方といった業務の進め方に関するルールや、診療報酬の算定方法などが大きく異なります。
そのため、特にこれまで病院勤務しか経験がない医師にとっては、初めての経験する点も多いかもしれません。

さらにクリニック経営における「流行」を学び、市場理解を深められる点もメリットの一つです。

例えば昨今のクリニック経営では、オンライン診療やにんにく注射、美容点滴といった自由診療の領域にも対応することが求められるようにもなっています。

このように医療に求められる内容やサービスが多様化した現代において、自身の専門性に拠らない集客の方法を学ぶことは重要です。

「どこまでの範囲の診療メニューを、どれだけ提供するのか」といったマーケティング領域の知見や経験の有無も、将来の開業・経営における大きなカギとなるでしょう。

クリニックで働くメリット②開業や経営に必要な知識・スキルを学べる

また院長や経営陣を身近なロールモデルとして、将来自身が開業し経営者となった時に必要となる医業以外の業務についても学んでいくこともできるでしょう。

医師からは、以下のような声が寄せられています。

・現在までずっと勤務医だったので、実際の経営の手腕などを学びたい。(30代/呼吸器内科/勤務医(大学病院))

スタッフとの接し方。(50代/耳鼻いんこう科/勤務医(大学病院以外の病院))

・ほぼ全てのこと。必要な設備・スタッフの選び方・加算のtipsなど。(30代/泌尿器科/勤務医(大学病院))

患者集客や収入増加のノウハウなど。(60代/循環器内科/勤務医(大学病院以外の病院))

もし既存クリニックの「管理医師」として就任・勤務する場合には、将来の開業時にどれくらいの集客が期待できるのかといった集患の具体的なイメージを掴みやすくなります。

また、働きながら 実質は市場調査ともいえる経験を積める点も大きなメリットです。

例えば「この診療ラインナップを導入することで、どれくらい利益があがるのか?」、「どのくらい集患に繋がるのか?」といった点を、実際に働きながら体感・検証することができるのです。

将来の開業時にはこれらの経験を活かし、リスクを取らずに診療ラインナップを検討することが可能になるでしょう。

クリニックで働くメリット③開業後も役立つ人脈が作れる

昨今のクリニック経営においては、地域と繋がりながら病診連携・診診連携をしていくことの重要性が増しています。

地域および近隣の医療機関との関係構築の手法を学んでおくことは、将来自身が経営者となった時にもきっと役立つスキルとなるでしょう。

クリニックで働くなら、開業志向のある医師を応援してくれる転職求人が狙い目

実は医師の転職求人の中には、将来の開業に向けて意欲のある医師に向けた開業時のノウハウ開示やアドバイス等のサポートを行っている医療機関の案件もあります。

本調査では 開業に関心がある医師の88.5%が、上記のような勤務先で働く機会があれば「積極的に検討したい/関心がある」と回答しています。

Q: もしも開業支援があるクリニック等で勤務する機会があれば、検討してみたいと思いますか?

Q: もしも開業支援があるクリニック等で勤務する機会があれば、検討してみたいと思いますか?

ただし、一般的な求人サイトでこのような案件を見付けることは難しくなっています

また開業を見据えた転職を検討する際には、

・いつ開業したいか

・どこで開業したいか

・どのようなクリニックを開業したいか

といった要件を固めたうえで戦略を練ることが重要です。

失敗のない転職活動を進めるためには、これまで数多くの医師の転職をサポートしてきたコンサルタントから得られる情報やアドバイスが有用です。
このようなサポートを希望する場合には、医師専門の転職エージェントに依頼してみると良いでしょう。

クリニック経営を学べる転職求人もご紹介可能!

勤務医が医療経営を学ぶ方法②開業コンサルタントに相談してみる  

もう一つの方法は、医師の開業支援をしている企業のコンサルタントから情報を入手することです。

開業コンサルタントに相談するメリット①開業までのプロセスを理解できる

開業支援を行うコンサルタントの仕事は、開業後の経営をシミュレーションして成功に導くスキームを構築することです。

開業する際には「診療圏調査をする」「開業用の物件を探す」「行政への手続きを行う」「事業計画書を作成する」   「看護師や事務職の採用をする」「導入機器の選定・購入をする」等の非常に多くのタスクが発生するため、混乱したり不安を感じる方も多いのではないでしょうか。

一方、開業支援のコンサルタントは、開業準備のプロセスを熟知しています。
そのため開業に関する知識が少ない勤務医にも分かりやすく、「これから何をすべきなのか」といった開業成功までの道筋を具現化して示してくれるでしょう。

開業コンサルタントに相談するメリット②開業に関する客観的なアドバイスをもらえる

開業する際には、自分自身で考え決断しなければならない場面が多々あります。

このような時にコンサルタントに相談すれば、客観的な立場からのアドバイスをもらえるため、自分の考えに偏った判断を下しにくくなるでしょう。

また様々な選択肢を提示してもらうことによって、一人では思いつかなかった戦略の発案に繋がることもあるかもしれません。

開業コンサルタントに相談するメリット③ノウハウや独自情報、コネクションを提供してもらえる

一般的に医師開業支援のコンサルタントは、開業や医療業界に関する豊富な知識や経験を有しています。

よって、これまでのノウハウを活かして開業を成功に導いてくれることが期待できるでしょう。

また、自分だけでは収集することが難しいような情報を有している点も、コンサルタントに依頼するメリットの一つです。

例えば開業用の物件情報や弁護士・税理士など専門家とのコネクション等、開業準備のプロセスに欠かせない情報や繋がりを紹介してもらうことが可能です。

なお「Dr.転職なび」を運営するエムステージグループでは、「医業承継」による開業をサポートするサービスを展開しています。

医療経営士の資格を持ち医療に専門的な知見のあるコンサルタントがチームとなり、法務・財務を専門とする担当者や医療分野に強い弁護士等と連携しながら、先生方の開業サポートを行っています。

エムステージなら、「クリニック勤務」「医業承継」の同時比較も可能

「Dr.転職なび」を運営するエムステージグループでは、「開業に関心があるけれど、なかなか踏み出せない」という先生のキャリア形成も強力にご支援します。

例えば、転職情報サイト「Dr.転職なび」のコンサルタントからは、開業を視野に入れたクリニック勤務の案件をご提案。
一方で「医業承継サポート」のコンサルタントからは、第三者承継による開業に関する情報提供を行う等を、同時に行うことも可能です。

複数のエージェントや企業とやり取りをする手間や時間を大幅に削減し、効率的に検討を進めていただくことができます。

ご自身が希望する働き方を叶えるために、本当に適した選択肢は何なのか。
様々な選択肢を比較検討したうえで、ご自身にとって最適な方法を選び取りたいとお考えの先生は、私たちに是非お話をお聞かせください。

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◆調査概要「開業に関するアンケート」
調査日:2023年10月17日~10月24日
対象:Dr.転職なび・Dr.アルなびに登録する会員医師
調査方法:webアンケート
有効回答数:439

Dr.転職なび編集部

ライター

Dr.転職なび編集部

医師の転職、キャリアアップ応援コンテンツを提供する「Dr.なび」編集部です。医師転職サービスを提供する株式会社エムステージが運営しています。

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