人々の健康や命と向き合い、寄り添う職業である医師。
年末年始も関係なく勤務されていた先生もいらっしゃるかと思いますが、新しい年を迎えた医師たちは、2023年をどのような年にしたいと考えているのでしょうか。
Dr.なびの会員医師383名にご協力いただいたアンケート結果をご紹介します。
医師として、昨年を振り返って思うこと
最初に、昨年2022年を振り返ってみての所感についてお聞きしました。
昨年の仕事について、過半数の医師は「満足だった」
昨年の仕事上の満足度として、最も近いものを尋ねたところ、最も多かったのは「満足である」(43.6%)で、次いで「どちらともいえない」(29.8%)、「不満がある」(9.7%)が多くなっています。
全体的にみると「満足」と答えた人が57.2%と半数を超える結果でした(「大いに満足である」と「満足である」を合計)。
悔いが残る…2022年にもっと取り組んでおけば良かったと思うこと
続いて 昨年もっと取り組んでおけばよかったと思うことを尋ねたところ、最も多かったのは「スキルアップ(資格取得、症例数を増やすなど)」で、「働き方の変更(勤務形態や勤務時間を変えるなど)」「キャリアアップ(昇進、昇給など)」という回答も多く挙げられました。
◆スキルアップ(資格取得、症例数を増やすなど)
・もう少し症例数をみておけばよかった。(30代/勤務医/大学病院)
・転科に伴い、必要な資格が変わったので新しく取得しておきたかったです。今年頑張ります。(40代/勤務医/非常勤のみ)
・専門外の領域に関心を持ち、診療スキルを高める工夫が不足していました。(50代/勤務医/一般病院)
・論文の執筆。(30代/勤務医/一般病院)
・統計学の勉強。(30代/勤務医/大学病院)
・会計士の資格を取っておけばよかった。(50代/勤務医/一般病院)
◆働き方の変更(勤務形態や勤務時間を変えるなど)
・仕事を減らせばよかった。(50代/勤務医/一般病院)
・家庭の事情で仕事量をセーブしていますが、もう少し専門的な領域の仕事を増やせればと思っていました。(40代/勤務医/診療所・クリニック)
◆医師としての人脈づくり
・医師の友人を作り、症例の相談などしやすい環境作りは大切だと思います。(30代/勤務医/一般病院)
・仕事と家庭の両立で日々大変ですが、今年からは徐々に人脈作りを進めていけたらと思います。(40代/勤務医/健診施設や老健など)
◆アルバイト
・単発のアルバイトをしたかった。(60代/勤務医/一般病院)
・ワクチンのバイトをもっとしたかった。(50代/勤務医/診療所・クリニック)
◆その他
・仕事の能率化。(50代/勤務医/診療所・クリニック)
・患者への接遇について今更ながら勉強し直しが重要と思った。(30代/勤務医/診療所・クリニック)
・医療スタッフ(看護師、介護士、理学療法士、生活支援部など)との連携をより緊密にして、コロナに対応すべきであった。(60代/勤務医/健診施設や老健など)
2023年、医師が取り組みたいこと・注力したいこと
続いて2023年がより充実した年となるように、今年取り組んでいきたいこと・注力していきたいことをお聞きしました。
今年、医師が仕事上で取り組みたいことは「スキルアップ」
医師として取り組んでみたいことや注力したいことを尋ねたところ、最も多かったのは「スキルアップ(資格取得や症例数を増やすなど)」となり、上述の昨年もっと取り組んでおけば良かったこととリンクする結果となりました。
次いで「働き方の変更(勤務形態や勤務時間を変えるなど)」や「キャリアアップ(昇進や昇給など)」「アルバイト」という声も多く挙がっており、2024年からの医師の働き方改革の施行開始が近づく中でご自身の働き方について検討し、動き始めようと考える医師も増えているようです。
◆スキルアップ(資格取得や症例数を増やすなど)
・自分の専門科の領域で頑張りたい。(40代/勤務医/一般病院)
・専門医取得と、専門科以外の科の勉強。(50代/勤務医/一般病院)
・指定医取得。(40代/勤務医/一般病院)
・サブスペシャリティのスキルアップ。(30代/勤務医/一般病院)
・産業医資格を取る。(50代/勤務医/一般病院)
・労働衛生コンサルタントの資格を取る(50代/勤務医/一般病院)
・語学。(50代/勤務医/一般病院)
・自分自身のスキルアップに加え、後輩の指導にも力を入れたい。(30代/勤務医/一般病院)
◆働き方の変更(勤務形態や勤務時間を変えるなど)
・仕事を減らしたい。(50代/勤務医/一般病院)
・子育てが落ち着いてきたので、勤務時間を増やしていきたいです。(40代/勤務医/非常勤のみ)
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◆医師としての人脈作り
・新たな地での人脈作り。(30代/勤務医/一般病院)
◆アルバイト
・時間を見つけてアルバイトしたいです。子育て時間をもう少し上手く確保した上で、勤務時間中の経験値をあげられたらいいです。(30代/勤務医/大学病院)
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今年、医師がプライベートで取り組みたいことは「体力づくり」
次に、医師がプライベートで取り組んでみたい・注力したいことを尋ねたところ、最も多かったのは「運動などによる体力づくり」でした。
日々患者様の健康や命に向き合う医師は、ハードな労働環境に置かれてしまうことも少なくありません。
そのため、新しい年はご自身の心身の体調にも目を向けながら、健やかに一年を過ごしたいと考える医師が多いのでしょうか。
次いで、長引くコロナ禍によって実現しづらくなっている「旅行」や、以前のアンケート結果においても医師からの高い関心が伺われた「資産形成」という声が多く挙がっています。
◆運動などによる体力づくり
・テニスを続けること。(50代/勤務医/一般病院)
・食事管理と、体に合った運動の模索。(60代/勤務医/一般病院)
・食事運動による減量。(30代/勤務医/大学病院)
◆旅行
・海外旅行に久しぶりに行きたい(30代/勤務医/非常勤のみ)
・まったり旅行したい。(50代/勤務医/一般病院)
・コロナ禍が収束しない限り、会食や旅行など夢のまた夢。(50代/開業医)
◆資産形成
・資産について学びたい。(30代/勤務医/一般病院)
・NISA増額に対応する。(50代/勤務医/大学病院)
・引退後の生活、老後資金の計画を立てる。(60代/勤務医/診療所・クリニック)
◆語学の習得
・英語のスピーキング練習中です。(30代/勤務医/診療所・クリニック)
◆育児、家族と過ごす時間の確保
・新しい家族が増えます。子育てを頑張りたいです。(40代/勤務医/診療所・クリニック)
・子どもが大きくなり受験を意識する年頃となったので、サポートしていきたいです。(40代/勤務医/非常勤のみ)
◆趣味
・将棋が強くなる。(30代/勤務医/一般病院)
◆その他
・ボランティアを通して、多くの人に感化を与えたい。(40代/勤務医/診療所・クリニック)
・たくさんありすぎて迷ってしまう。(50代/勤務医/診療所・クリニック)
医師に聞く「2023年の抱負」と長期的な展望
最後に、2023年における仕事やプライベートでの抱負と、その先も含めた長期的な目標やキャリアプランについてお聞きしました。
今年はこんな年にしたい!医師の「抱負・目標」
先生方からお寄せいただいた2023年の抱負や目標の一部を抜粋してご紹介します。
◆健康
・とにかく健康であること。(50代/勤務医/一般病院)
・健康で穏やかな一年。(50代/勤務医/一般病院)
・気力体力の衰えを自覚しているので、体のメンテナンスに努めたい。(50代/開業医)
・健康で、やりがいのある仕事を心がける。(50代/大学勤務)
◆医師としての仕事
・内科医としての成長。(50代/勤務医/一般病院)
・コロナとの共生。(50代/勤務医/一般病院)
・開業に向けての情報収集。(30代/勤務医/一般病院)
・増税等の影響も考慮しつつ、引き続き患者さんのライフスタイルに合った健康管理を共に考えていきたいです。(40代/勤務医/非常勤のみ)
◆ワークライフバランス
・仕事とプライベートの両立。(50代/勤務医/一般病院)
・50歳の節目なのでよりQOLを充実させる。(40代/勤務医/一般病院)
・公私バランス良く生活する。(50代/勤務医/診療所・クリニック)
・子育てに注力しつつ、子育て後の仕事についてより具体的に考えていきたいです。(40代/勤務医/診療所・クリニック)
2023年こそ、「ワークライフバランス」を改善しませんか?
◆その他
・出来るだけやりたいことを一つずつ、叶える年にしたいです。人脈も増やしたいです。(30代/勤務医/大学病院)
・コロナの感染に気をつけつつ、またこの2年で得た教訓を活かしつつ、コロナ禍で制限されていた活動に集中したい。(40代/勤務医/診療所・クリニック)
◆今後のキャリア
・将来における様々な可能性を見据えて、準備していけたらと思います。(40代/勤務医/健診施設や老健など)
・勤務先は今でも食事、旅行等の強力な自粛を職員に求めるなど閉塞的な雰囲気がある。
こうした中でもできるスキルアップや、もしくは転職を含めて今後のキャリアを考えていきたい。(30代/勤務医/一般病院)
長期的なキャリアプランを立てている医師は、およそ2割しかいない
新しい年が始まるタイミングは、自身の働き方について考えたり、動き出したりする良い機会にもなりますよね。
最後に、どのくらいの医師が長期的なキャリアプランを立てているか尋ねました。
その結果、「立てていない」(41.8%)が最多となり、次いで「立てているが、見直しが必要と感じる」(36.0%)、「立てている」(22.2%)となりました。
確固たるプランを持っている医師は全体のおよそ2割にとどまり、残りの約8割はこれから計画を立てる、または見直しが必要という状況にあることが分かります。
なお、すでにキャリアプランを立てている医師に、プランを立てる上で参考にしたものを尋ねたところ、最多は「インターネットなどで情報を収集する」(回答数:108)で、次いで「家族への相談」(回答数:101)、「先輩医師への相談・ヒアリング」(回答数:81)が多くなっています。
社会的な需要が高く「生涯現役の職業」ともいわれる医師ですが、2004年に新医師臨床研修医制度が導入されて以降、大学医局の在り方は大きく変容しました。
また昨今では、長引くコロナ禍が医療機関の経営状態に打撃を与えるなど、医師を取り巻く環境は常に変化しています。
このような環境下でも医師が理想の将来を実現するためには、自身でキャリアプランを考え、計画的に知識や経験を積み上げていくことが重要となっているのです。
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今回の調査において「先輩医師への相談・ヒアリングを参考にする」という意見も多く挙がっていましたが、自分が描くキャリアのロールモデルとなりそうな方に話を聞くことはキャリアプラン策定に大きく役立つはずです。
もし身近にこのような相手が見つからない場合には、医師専門の転職エージェントをうまく活用するという方法もお勧めです。
医師専門の転職エージェントは医師のキャリアに関する多くの選択肢を知っていますし、自分では気付くことができないような、思いがけないアドバイスがもらえることもあるでしょう。
「自分だけでキャリアプランを考えるのは難しそう…」「今考えているプランは、本当に自分に合っているのだろうか?」と悩むときには、気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
Dr.転職なびは、すべてのコンサルタントが医療経営士資格を取得。
医療機関の経営的な視点も持ち合わせていることが大きな特徴です。
いま医療機関から求められている医師像なども踏まえたうえで、先生のキャリアプラン策定に役立つ情報をご提供いたします。
◆調査概要「今年取り組みたいこと・注力したいことに関するアンケート」
調査日:2022年12月20日~12月27日
対象:Dr.転職なび・Dr.アルなびに登録する会員医師
調査方法:webアンケート
有効回答数:383