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【女医115名に調査!前編】勤務中の不調、どう乗り越える?女性医師が抱える健康課題と対処法

【女医115名に調査!前編】勤務中の不調、どう乗り越える?女性医師が抱える健康課題と対処法

厚生労働省の「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、令和2年度時点での医師総数は、339,623人。

このうち女性医師は77,546人(22.8%)であり、医師という職種においては男性の割合が高いという現状が示される数値となっています。

今回「Dr.転職なび」では、女性の会員医師へのアンケートを実施。
115名から寄せられた回答やエピソードをご紹介しながら、女性医師が置かれている労働環境や働きやすさについて前編・後編の第2回にわたって考えていきます。

前編となる本稿では、女性医師が抱える健康上の課題と労働環境の実情についてお伝えします。

女性医師が感じている、健康上の不安とは?

女性医師が感じる健康上の不安要素で最も多いのは「体力の衰え」

Q:現在、ご自身の健康に関して不安に感じていることはありますか?(複数回答可)

Q:現在、ご自身の健康に関して不安に感じていることはありますか?(複数回答可)

女性医師が現在感じている健康上の不安を尋ねた質問では「体力の衰え」(回答数:68)が最多で、次いで「運動不足」(回答数:67)、「精神的な疲れ」(回答数:46)となりました。

また、「月経前症候群(PMS)」(回答数:16)や「月経困難症」(回答数:7)、「更年期障害」(回答数:9)といった女性特有の不調や、「不妊・妊活」(回答数:11)や「妊娠・出産・産後の不調」(回答数:7)の妊娠・出産にまつわる不安や不調を抱えている方も一定数います。

女性医師が日常に取り入れている健康法やストレス解消法は?

上記のような様々な健康課題に対して、68.7%にのぼる女性医師は「日常で気を付けていることや、取り入れている健康法、ストレス解消法がある」と回答しています。

実際に女性医師から寄せられた健康法やストレス解消法をご紹介します。
外来の合間や通勤時などで気軽に実践できるものもありますので、ぜひ参考になさってみてください。

▼「運動」に関すること

ストレッチやその場で出来る運動を、診療の合間で行う。(40代/健診・ドック)

定期的な運動(ヨガ、ピラティス、水泳)をしている。(40代/耳鼻いんこう科)

近距離は徒歩や自転車を活用したり、なるべく階段を使ったりするようにしている。(40代/一般内科)

スマホの健康管理アプリに入っている運動プログラムを実践している。自動で記録が残るので便利。(30代/産業医)

▼「食」に関すること

・なるべく自炊し、食べる順番(炭水化物の摂取は、野菜・タンパク質を摂取した後にする)に気を付ける。空腹時に甘い物は摂らない。(50代/麻酔科)

・毎日青汁を飲んでいる。(30代/産婦人科)

定期的にファスティングをする。(40代/美容皮膚科)

グルテンフリーを実践している。(40代/一般内科)

▼「睡眠」に関すること

なるべく早く寝る。やるべきことは朝に回して、無理しない。(30代/一般内科)

昼寝を取り入れる。(30代/一般内科)

▼「薬」に関すること

漢方を続けている。(40代/総合診療科)

ピルを飲んでいる。(20代/麻酔科)

▼その他

旅行に行って、美味しいものを食べることで息抜きしています。(50代/放射線科)

・気分が荒んでいる時には、お気に入りの香水を少しつけて楽しむ。(30代/美容皮膚科)

買い物はカートを使用せず、どんなに重くても自分で持つ。玉ねぎのみじん切りをいつも以上に細かくする(まな板にイライラをぶつける?)。(60代/健診・ドック)

女医あるある?勤務先で不調に陥ってしまった経験と対処法

女医あるある?勤務先で不調に陥ってしまった経験と対処法

続いて、女性医師が勤務中に PMSや更年期障害などの「女性特有の不調」を経験したエピソードや、その対処法について聞きました。

46.1%の女性医師は、女性特有の不調により勤務先で困った経験がある

Q:「女性特有の健康課題」や「女性に多く現れる症状」により、勤務先で困った経験をしたことはありますか。

Q:「女性特有の健康課題」や「女性に多く現れる症状」により、勤務先で困った経験をしたことはありますか。

上記のグラフが示す通り、46.1%の医師はPMSや更年期障害など「女性特有の健康課題や症状によって、勤務先で困った経験がある」と回答しています。

実際に医師から寄せられたコメントの一部もご紹介します。

▼生理痛、片頭痛など

・生理痛が酷く、外来を急遽休ませてもらうことに。他の方に迷惑がかかってしまった。(20代/美容皮膚科)

・生理前は腹痛のため、手術がつらかった。(50代/眼科)

・PMS、月経中の浮腫、倦怠感、腹痛で朝のカンファレンスや外来が辛い。(30代/呼吸器内科)

・月経中は片頭痛が起こりやすく、勤務に支障が出てしまう。(30代/美容皮膚科)

▼頻回にトイレに行くことができない

・外来中はトイレに行く時間が少ないので、経血の漏れなどがたびたびある。(30代/呼吸器内科)

・月経の量が増えてしまったが 自由にトイレに行くことが難しいため、訪問診療の仕事を辞めざるを得なかった。(30代/放射線科)

▼精神的不調、業務効率の低下

・生理中はイライラしがち、ミスしがち。(30代/麻酔科)

・生理前は精神的に過活動になったり、攻撃的になったりしてしまう。(30代/集中治療科)

・気分の変調で、普段なら問題なくこなせる人間関係が辛くなった。(30代/小児科)

気分の浮き沈みがある。(40代/呼吸器内科)

▼その他

当直中に流産をしてしまい非常に辛かったが、その後も休めなかった。(30代/耳鼻いんこう科)

・色々あるが、恥ずかしくて書けない。(50代/眼科)

全体の46.1%の女性医師は、上記のような女性特有のさまざまな不調や症状を抱えながらも、日々の診療や手術に真摯に取り組んでいるのです。

不調時に相談できる相手・窓口がある医師は、わずか33%

実際に勤務先で不調に陥ってしまったときの相談相手または窓口について尋ねた質問では、相談相手や窓口が「ある」と回答した医師はわずか33%にとどまっています。

Q:勤務先で不調に陥ってしまったときに、相談できる相手または窓口はありますか?

Q:勤務先で不調に陥ってしまったときに、相談できる相手または窓口はありますか?

なお、相談先として最も多く挙げられたのは「上司」(回答数:17)で、次いで「同僚(医師以外)」(回答数:15)、「同僚(医師)」(回答数:14)となっています。

Q:どのような相手・窓口に相談をしていますか?(複数回答可)

Q:どのような相手・窓口に相談をしていますか?(複数回答可)

冒頭でご紹介したように、医師という職種は男性の割合が高くなっています。
そのため女性医師が女性特有の不調に陥ってしまった場合には、男性の多い職場ではなかなか相談しづらいという状況であることが推測されます。

61.7%の女性医師は、不調でも「休みが取れない」

続いて、勤務先によるサポート状況について尋ねました。

昨今では一般企業においては働く人の健康課題に対する取り組みとして「有給休暇の取得推進」や「生理休暇」などの制度を設けている会社が増えていますが、医療機関では医師の健康課題に対する取り組みはどのくらい進んでいるのでしょうか。

Q:勤務先で不調に陥ってしまったときに、休みを取れる環境や制度はありますか?

Q:勤務先で不調に陥ってしまったときに、休みを取れる環境や制度はありますか?

上記グラフが示す通り、勤務先における不調時には休暇を取得できる制度が「ある」と回答した医師は、全体の4割に満たない状況となっています。

勤務先における不調時には休暇を取得できる制度が「ある」と回答した医師のコメントは、以下の通りです。

▼チーム医療などで、代診の体制が整っている

・チーム医療のため、休みを交互に取るなどして対応しています。(40代/一般内科)

・コロナ感染による自宅療養や胃腸炎での自宅療養の際、代務医師を手配していただきました。(40代/呼吸器内科)

・生理痛では休める雰囲気ではないですが、急な休みの時は代診の体制はある。(30代/一般内科)

▼「生理休暇」を活用する

・生理休暇もあるし、年休も取りやすい。(30代/一般内科)

▼「有給」を利用して休暇を取得する

・有給は取りやすい。(30代/精神科)

このように不調時に休暇を取得できる体制や制度が整う医療機関がある一方、「休暇を取得できる制度はない」と回答している医師は全体の6割を超えています

また、働く人の健康を推進するために制度を設けることも大切ですが、それと同時に急な休暇に対応できるような医師体制の整備を行うことや、医師を含む院内への広報を行い周囲への理解を促すことも重要です。

しかし今回の調査では、「生理休暇はあるが、使えるのかわからない。(20代/麻酔科)」といった声も寄せられており、全体的に医療機関における医師の健康課題への取り組みは、まだ十分でない施設も数多くあることが示唆されています。

不調時に周囲からのサポートが受けられない女性医師は、「薬」や「スキマ時間での休息」、「我慢」で対応

本調査では、勤務先で不調に陥ってしまった際に「相談できる相手がいない・相談窓口がない」かつ「休暇を取れる制度がない」と回答した女性医師は、全体の44.7%にものぼることが分かっています。

このように周囲からのサポートを受けられない女性医師は、勤務先における不調にどのように対応しているのでしょうか。

Q:不調に陥ってしまったとき、ご自身でどのように対応・解決されていますか?(複数回答可)

Q:不調に陥ってしまったとき、ご自身でどのように対応・解決されていますか?(複数回答可)

最も多かったのは「薬を飲む」(回答数:44)で、次いで「すきま時間で休む」(回答数:38)、「我慢する」(回答数:37)の順に多くなっています。

不調時に「相談できない」「休めない」勤務先で、長く働けますか?

以上、女性医師が抱える健康上の課題と労働環境の実情についてお伝えしました。

勤務先における不調を誰にも相談できず、休むこともできず、一人で抱え込んでいる女性医師がこれほどにも多いという今回の調査結果に、衝撃を受けた方も多いのではないでしょうか。

働く人の健康課題に正しい対処がなされない職場は、望ましい労働環境とはいえません。
それは一般企業にだけ当てはまることではなく、医療機関の場合も同様です。

今後は、自院で働く医師が抱える健康課題を把握し、個人の対処任せにせず、必要な対策を講じる。
そしてしっかりと推進・実践する医療機関が、医師から選ばれる時代になっていくでしょう。

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後編記事では、引き続き女性医師へのアンケート結果をご紹介しながら女性医師にとって「働きやすい環境」について解説しています。
こちらも合わせて、ぜひご高覧ください!

◆調査概要「女性医師の健康・働きやすさに関するアンケート」

調査日:2023年3月7日~3月14日

対象:Dr.転職なび・Dr.アルなびに登録する会員医師(女性)

調査方法:webアンケート

有効回答数:115

Dr.転職なび編集部

ライター

Dr.転職なび編集部

医師の転職、キャリアアップ応援コンテンツを提供する「Dr.なび」編集部です。医師転職サービスを提供する株式会社エムステージが運営しています。

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