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【医局員のホンネ】67%が退局を検討-医局所属のメリットとデメリット、満足度を調査

【医局員のホンネ】67%が退局を検討-医局所属のメリットとデメリット、満足度を調査

多くの医師にとって、キャリアを考える上で「大学医局」の存在は大きいものといえるでしょう。

その一方で、「本当に、医局に所属しておいた方が良いだろうか」「医局にいるメリットとデメリットは、どちらが大きいのだろう?」と考えたご経験はありませんか?

そこで「Dr.転職なび」では、会員医師を対象に「医局に関するアンケート」を実施。
本記事では、現在医局に所属している189名の医師の声をご紹介しながら、医師が医局に所属するメリット・デメリットについて考えていきます。

どのくらいの医師が、医局に所属している?

本アンケートにおける医師の医局への所属状況は、以下の通りです。

医局への所属状況

現在医局に所属している医師が42.3%(189名)、現在は退局している医師が45.9%(205名)、そして卒後一度も医局に所属していない医師が11.9%(53名)となっています。

本記事では、このうち「現在も医局に所属している医師」から寄せられた声を中心にご紹介していきます。

医局員に聞く、医局に所属するメリットは?

医局員に聞く、医局に所属するメリットは?

現在も医局員として働く医師189名に、医局に所属するメリットを尋ねました。

Q:医局に所属している理由として、当てはまるものを教えてください。(複数回答可)

Q:医局に所属している理由として、当てはまるものを教えてください。(複数回答可)

医局に所属するメリット①「安定した勤務先」を確保できる

医局に所属している理由として最も多かったのは、「安定した勤務先を確保したい」(回答数:83)です。

一般的に、大学医局には多くの関連病院があります。
医局に所属する医師は関連病院である別の医療機関で働くケースも多いため、勤務先には困らない状況であるといえるでしょう。

なお関連病院には、都市部だけでなく、へき地や医師確保が困難な地方の医療機関も含まれています。
医局に所属する医師がこのような地域に派遣されること、いわゆる医局派遣によって地域医療やへき地医療が成り立っているという実情もあります。

医局に所属するメリット②「専門医取得を目指す環境」が整っている

次いで「専門医を取得したい」(回答数:68)、「関連病院への派遣などで、幅広い症例・経験を積みたい」(回答数:58)も、多くの医師から挙げられています。

大学医局では
・必要な症例を確保しやすい
・専門医の資格取得に向けたプログラムや上級医による指導体制がある
など、専門医を取得するために必要な知識や臨床経験を網羅できる環境が整っています。

・専門医を取得するという意味では、医局に所属する意義はあると思う。
また海外留学や国内の有名な施設での研修なども、医局に属していないとかなりハードルは上がると思う。(40代/総合診療科/勤務医(大学病院))

実際に「Dr.転職なび」で転職活動を行う先生のなかでも、専門医を取得したことを機に医局を辞め、転職に踏み切るというケースは非常に多くなっています。

医局員に聞く、医局に所属するデメリットは?

医局員に聞く、医局に所属するデメリットは?

続いて、医局に所属することで感じているデメリットについて聞きました。

Q:医局に所属することによるデメリットと感じていることはありますか?(複数回答可)

Q:医局に所属することによるデメリットと感じていることはありますか?(複数回答可)

医局に所属するデメリット①頻回な転勤など「望まない異動」がある

医局に所属するデメリットとして最も多く挙げられたのは、「転勤が多いなど、望まない人事異動がある」(回答数:108)です。

医局に所属する医師にとって、異動(いわゆる医局派遣)はつきものです。

その際 異動先について医局員本人が希望を出すことはできず、基本的には医局によって勤務先が決定されます。

異動先は大学病院の近隣の医療機関の場合もありますし、転居が必要な遠隔地の医療機関へ異動となるケースもあります。
特に転居を伴う異動の場合には医局員やその家族の生活面・金銭面にも大きな変化が生じますが、医局員は「医局人事を断ることは難しい」のが実情です。

異動のタイミングは4月・10月が多くなっていますが、数か月など短期間の間に転勤を繰り返している医師も少なくないようです。

・異動が多いため 引っ越しが頻回になり、かなり大変。
加えて、異動先はあまり給与の高くない病院である。(30代/内分泌科/勤務医(大学病院以外の病院))

実際に「Dr.転職なび」の調査でも、医局派遣で転居を経験した医師の11.3%が「10回以上の転居を経験している」という結果が出ています。

医局に所属するデメリット②給与が少ない

医局に所属するデメリットとして、次いで多く挙げられたのは「給与が少ない」です。

一般的に、大学病院で働く医師の給与は、民間の病院よりも低い水準といわれます。

文部科学省の委託を受け、全国医学部長病院長会議が全国81の大学病院および981名の医師に行った調査結果報告書には、以下のような記述があります。

大学病院の医師の給与は、一般医療機関や国立病院機構と比べて、年収で500万円から700万円ほどの差が生じているため、大学病院の医師のほとんどは兼業や副業により給与差額分を補っているのが現状である。

出典:「大学病院における医師の働き方に関する調査研究報告書」(文部科学省)

このような事情から収入を補填するために医局員が外勤(アルバイト)をするケースは多く、同調査でも医局員の8割以上が外勤をしているという結果が示されています。

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医局員に聞く、医局への満足度と今後の働き方は?

医局員に聞く、医局への満足度と今後の働き方は?

最後に、現在所属する医局に対する満足度や思い、今後の働き方について尋ねました。

医局員の3人に1人以上は、医局に「不満」を持っている

医局員として働く医師は、所属先の医局にどのくらい満足しているのでしょうか。

Q:所属している医局への満足度として、最も近いものを教えてください。

Q:所属している医局への満足度として、最も近いものを教えてください。

最も多いのは「まあ満足している」(64%)であり、次いで「やや不満がある」(21.2%)、「大いに不満がある」(9%)となっています。

全体的にみると、約3割を占める医師が医局に「不満」を感じていることが分かります(「やや不満がある」と「大いに不満がある」の回答数を合計)。

医師から寄せられたコメントの一部も、抜粋してご紹介します。

◆まあ満足している

・今の医局は、教授が個々の医局員のことを考えてくれるため。(50代/病理診断科/勤務医(大学病院))

・大学院在学中に結婚し、その後妊娠・出産。育児をしながら医局人事外で今に至るまで仕事しているが、医局による働き方の強制がないため。(40代/呼吸器内科/勤務医(健診施設や老健など))

外科系なので、経験症例数がものをいうため。
特に若手のうちに苦労せず、年を取ってから望まない経験をしないといけなくなるよりは、若いうちから経験したほうが良いと思う。
都道府県を越えて異動することも幅広い経験となり、今後活かせる見込みが大きいと考えている。(30代/泌尿器科/勤務医(大学病院))

◆やや不満がある

厳しい人事が多い。(50代/小児科/勤務医(大学病院以外の病院))

時間外勤務が多すぎて、体力的にきつい。
平日はほぼ毎日22ー23時過ぎまで勤務。オペは、長いものだと翌朝3時に終わることもあり、疲労がすごい。(20代/形成外科/勤務医(大学病院))

・外勤を含めて勤務が不定期で予定が立てにくく、家庭との両立が難しい。(40代/救急科/勤務医(大学病院以外の病院))

医局費(年会費)が高い。(30代/眼科/勤務医(大学病院以外の病院))

・学会発表に対するサポートが少ない(旅費など)。(40代/救急科/勤務医(大学病院以外の病院))

退局の希望が叶えられない。(50代/一般外科/勤務医(大学病院以外の病院))

◆大いに不満がある

・自由がない(40代/消化器内科/勤務医(大学病院))

転勤が多い。(30代/消化器外科/勤務医(大学病院以外の病院))

教授との関係が悪い。(40代/糖尿病内科/勤務医(大学病院以外の病院))

・あからさまな学閥主義。(40代/救急科/勤務医(大学病院))

・「若手を教育してやっている」という考え方や、仕事を増やして当たり前の風潮。
また、それに対して意見を言えない構造上の問題(人事や専門医取得に教授の力が大きく、逆らえば遠くの病院に飛ばされる・専門医取得の許可が出ない)がある。(30代/眼科/勤務医(大学病院))

66.7%の医局員は、医局を辞めることを検討している

最後に、今後も医局に所属し続けるかどうかについて尋ねました。

Q:これからも医局に所属し続けますか?

Q:これからも医局に所属し続けますか?

「これからも所属する」と回答した医師がおよそ3割を占める一方で、半数を超える医師が「辞める可能性はある」と答えました。
また、「辞めることを具体的に検討している」という医師も1割を超えています

◆これからも所属する

専門医を取るまで。(30代/眼科/勤務医(大学病院))

・人脈や治療診断についてカンファレンスが豊富なため、知識をアップデートしやすいため。(30代/腎臓内科/勤務医(大学病院))

・自分一人だけでは限界がある。医者には、師弟関係がある程度必要である。(50代/耳鼻いんこう科/勤務医(大学病院以外の病院))

・特定分野の第一人者でない限り、他者(患者・病院管理者ともに)の信頼に値する肩書を自前で用意することは難しいと考えるため。(30代/泌尿器科/勤務医(大学病院))

もうすぐ、定年なので。辞めたら、医局とは関係のない就職をする。(50代/小児科/勤務医(大学病院以外の病院))

◆辞める可能性はある

給料が安い。(30代/小児科/勤務医(大学病院以外の病院))

・所属するメリット(研究における連携)が無くなれば、所属している意味はかなり減ります。(40代/糖尿病内科/勤務医(大学病院以外の病院))

体力面でも、今後結婚してとかを考えた上でも、今の生活を続けていくのは厳しいと思う。

そのため、専門医取得して数年したら辞めることを考えている。(20代/形成外科/勤務医(大学病院))

・学閥主義に伴うポスト争奪戦に疲弊しているため。(40代/救急科/勤務医(大学病院))

・医局や大学で、上の地位の人を見ていても楽しそうではない

出世競争に負けた医師の姿が悲惨。(30代/小児科/勤務医(大学病院以外の病院))

◆辞めることを具体的に検討している

・窮屈だから。(30代/消化器外科/勤務医(大学病院以外の病院))

・異動が多い。頻回な引っ越しで疲弊している。(30代/内分泌科/勤務医(大学病院以外の病院))

ある程度専門医は取得しており、医局に所属する意味は既にないので。(40代/総合診療科/勤務医(大学病院))

・大学のポストを目指そうと思っておらず、自分の時間を重視したいから。(40代/救急科/勤務医(大学病院以外の病院))

子育てとの両立に厳しいものがあり、学ぶことも少なくなってきたので。(30代/皮膚科/勤務医(大学病院))

開業を検討中のため。(30代/眼科/勤務医(大学病院以外の病院))

▼医局からの転職事例

以上、現在医局に所属している189名の医師の声をご紹介しながら、医師が医局に所属するメリット・デメリットについてお伝えしました。

いまの働き方を、長く続けられないかもしれない。
でも、いつ動き出すのがベストなのか分からない。

今後のキャリアについてお悩みの先生は、医師のキャリアプランにも詳しいコンサルタントが在籍する「Dr.転職なび」までご相談ください。

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調査概要「医局に関するアンケート」

調査日:2023年6月6日~6月13日

対象:Dr.転職なび・Dr.アルなびに登録する会員医師

調査方法:webアンケート

有効回答数:447

Dr.転職なび編集部

ライター

Dr.転職なび編集部

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