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人間関係の不満は、医局員の3分の1以下!「医局に入らない医師」に聞く、入局しないメリットとデメリット

【調査】人間関係の満足度は、医局員の3倍以上!医師が医局に「入らない」理由とメリット・デメリット

近年、医学部卒業後にいずれの医局にも所属しないことを選択する医師が増えています。

実際に「Dr.転職なび」の調査でも、全体の1割を超える医師が「一度も医局に所属したことがない」と回答しています。

本記事では上記の調査結果をご紹介しながら、医師が医局に入らないことを選択する理由メリットやデメリット、キャリアへの影響等をお伝えします。

医局に所属しない医師は、どのくらいいる?

全体の1割超の医師は、「医局に入らない働き方」を選択している

Q:現在、医局に所属していますか?

Q:現在、医局に所属していますか?

本調査においては、全体の11.9%に上る医師が「一度も医局に所属したことがない」と回答しました。

医局に入らずに働く医師の専門は、「内科系」が約6割を占める

続いて「一度も医局に所属したことがない」医師の診療科を確認したところ、一般内科や呼吸器内科、消化器内科等の「内科系」を専門とする医師が全体のおよそ6割を占めています。

※以下のように診療科を区分し集計

内科系…一般内科、一般内科(訪問診療)、呼吸器内科、消化器内科、循環器内科、腎臓内科、脳神経内科、糖尿病内科、内分泌科、感染症科

外科系…消化器外科、整形外科

その他…精神科、麻酔科、健診・ドック、美容皮膚科、救急科、泌尿器科、産業医

次いで精神科や麻酔科、健診・ドック等の「その他」の専門の医師が約3割となり、消化器外科や整形外科の「外科系」を専門とする医師は1割以下となっています。

医師からは、以下のようなコメントも寄せられています。

・外科系は、医局に属したほうが学びの場が多いように思う。
自分でスキルを向上する自信が持てない場合でも、医局に属すことで最低限の医師に育ててくれる。(50代/一般内科(訪問診療) /勤務医(診療所・クリニック))

1割超の医師が医局に入らない理由と、得られるメリットは?

1割超の医師が医局に入らない理由と、得られるメリットは?

「一度も医局に所属したことがない」医師は、どのような理由から医局に入らないことを選択したのでしょうか。

また、その選択によって得られたメリットについても聞きました。

医局に入らない理由のトップは「望まない人事異動」を回避するため

Q:医局に所属しない理由として、当てはまるものを教えてください。(複数回答可)

Q:医局に所属しない理由として、当てはまるものを教えてください。(複数回答可)

医局に入らなかった理由として最多となったのは「転勤が多いなど、望まない人事異動がある」(回答数:39)です。

医局に所属している場合、医局人事による異動や転勤から免れることは困難であるケースが大半です。

特に家族がある医師の場合、頻回に行われる転居を伴う異動は大きな負担となります。

医局に入らない医師の「勤務先の人間関係への不満」は、医局員の3分の1以下

医師が医局に入らない理由として2番目に多かったのは、「派閥などの人間関係が複雑である」(回答数:30)です。

以下のグラフは、現在医局に所属している医師 および これまで一度も医局に所属したことがない医師を対象に、現在の勤務先の人間関係について尋ねた結果です。

Q:現在のご勤務先の人間関係は、良好ですか?

◆医局に所属している医師の回答

◆医局に所属している医師の回答

最も多くなったのは、「まあ良好である」(74.1%)です。

「非常に良好である」(8.5%)と合わせて、8割を超える医師は勤務先の人間関係を良好と考えているようです。一方で「あまり良好ではない」(13.8%)、「全く良好ではない」(3.6%)とした医師も15%程度を占め、人間関係に課題を感じている医師も少なくないことが分かります。

◆これまで一度も医局に所属したことがない医師の回答

◆これまで一度も医局に所属したことがない医師の回答

医局に入らず働く医師の場合も、「まあ良好である」(69%)が最多でした。

なお「非常に良好である」(26.2%)と回答した医師の割合に注目してみると、医局に所属する医師の3倍以上となっているのが大きな特徴です。

また、「あまり良好ではない」(2.4%)、「全く良好ではない」(2.4%)と回答した医師は全体の1割以下にとどまり、95.2%の医師は人間関係に満足していることがうかがえます。

医師からは、以下のようなコメントも寄せられています。

・研修医時代の師匠に、当時から誘われて働いている。
働きやすいし、待遇もかなり良い。(非常に良好である/30代/一般内科(訪問診療)/勤務医(診療所・クリニック))

家庭環境に応じて、勤務時間などを臨機応変に調整していただけるので、非常に助かっています。(非常に良好である/40代/健診・ドック/勤務医(非常勤のみ))

・非常勤だが、一緒に勤務したスタッフと旅行や食事を楽しめる関係を築けている。(まあ良好である/30代/一般内科/勤務医(非常勤のみ))

医局に入らないことによる、苦労やデメリットは?

医局に入らないことによる、苦労やデメリットは?

続いて、医局に所属しないという選択をしたことで困っていることや苦労していることを尋ねました。

56.6%の医師は、医局に入らなくても「困ることは全くない」

Q:「医局に所属しない」ことによって、困ることはありますか?

Q:「医局に所属しない」ことによって、困ることはありますか?

最も多くなったのは「困ることは全くない」(56.6%)で、全体の約半数を占めています。

一方で、「少し困ることがある」(13.2%)、「困ることが多い」(3.8%)と回答した約2割の医師は、医局に入らなかったために困っていることがあるようです。

医局の後ろ盾がない医師が、困っていること・苦労していることは?

上記の2割の医師は、具体的にどのようなことに困っているのでしょうか。

医師から寄せられたコメントを、一部抜粋してご紹介します。

医局ならではの情報収集ルートがないこと。(少し困ることがある/30代/一般内科/勤務医(非常勤のみ))

専門性の向上や、海外留学がしにくい点。(少し困ることがある/30代/整形外科/勤務医(非常勤のみ))

専門医などの資格やキャリアについては、最低限の道筋を立てておいた方が無難と思います。(困ることはあまりない/30代/精神科/勤務医(非常勤のみ))

医局に所属しないからこそ享受できるメリットも様々にありますが、医局に所属しているからこそ経験できる症例や学びの環境なども多くあることは事実でしょう。

医師として働く上で何をメリットとして感じるのか、何をデメリットとして感じるのかは、医師一人ひとりによって千差万別です。

「医局に所属する/しない」を検討する際には、医局に所属するメリット・デメリットを把握したうえで、自身が目指すキャリアプランやライフプランと照らし合わせて考えていくことをお勧めします。

▼関連記事医局に所属するメリット・デメリットを「現役医局員」に調査

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医局に入らないことは、医師のキャリア形成にどう影響する?

医局に入らないことは、医師のキャリア形成にどう影響する?

62.3%の医師は、医局に入らないことで「医師としてのキャリアは変わる」と回答

Q:「医局に所属しない」という選択によって、医師としてのキャリアは変わると思いますか?

Q:「医局に所属しない」という選択によって、医師としてのキャリアは変わると思いますか?

実際に「医局に所属しない」という道を歩んでいる実感として、キャリアが「多少は変わると思う」(45.3%)と回答した医師が最も多くなっています。

「大きく変わると思う」(17%)と合わせると、6割を超える医師は「医局に所属しないことによって、医師としてのキャリアが変わる」と考えていることが分かります。

近年では、医局に所属しないという医師の働き方も決して珍しいものではありません。

しかし、依然として医局の存在感や影響力が大きい地域や診療科もあるといった声や、医局に所属していないと学位や地位などが望めなくなるといった声も寄せられています。

地域柄、医局の力が強い。
そのため常勤で勤め続ける場合、科によっては入局必須と聞いている。
スキルアップや専門医取得のことを考えても、入局している方が指定病院に勤めやすいため有利だと思う。(大きく変わると思う/40代/健診・ドック/勤務医(非常勤のみ))

学位や出世、地位などは望めないから(自分は望まないが…)。(多少は変わると思う/30代/一般内科(訪問診療)/勤務医(診療所・クリニック))

▼関連記事:医局を「辞めた」医師が不安に感じていたことと、その対応策は?

84.9%の医師は、「医局に入らないという選択をして良かった」と回答

最後に、医局に所属しない働き方を選択したことに対する満足度を聞きました。

Q:「医局に所属しない」という選択をして良かったですか?

Q:「医局に所属しない」という選択をして良かったですか?

最も多くなったのは「非常に良かった」(45.3%)で、次いで多かった「まあ良かった」(39.6%)と合わせて8割を超える医師が、医局に入らないという選択を前向きに捉えていることが分かります。

上記のように感じる理由については、以下のようなコメントが寄せられました。

自由がある。(非常に良かった/30代/救急科/勤務医(大学病院以外の病院))

医局の複雑な人間関係から開放される。(非常に良かった/50代/一般内科(訪問診療)/勤務医(診療所・クリニック))

・医局特有のしがらみに苛まれず、自分の時間を確保しやすいから。(非常に良かった/30代/精神科/勤務医(非常勤のみ))

・タイムスケジュールなどを、自分好みにカスタマイズできる。(まあ良かった/30代/一般内科/勤務医(非常勤のみ))

・子育てに時間を取りたかったので、そのしわ寄せを他の先生に負担していただくよりは、自分のペースで働くことを選びました
キャリアは諦めることになりましたが、この選択を取っていてよかったと実感しています。(非常に良かった/40代/健診・ドック/勤務医(非常勤のみ))

今が幸せで、仕事も嫌だと思ったことがないから。(非常に良かった/30代/一般内科(訪問診療)/勤務医(診療所・クリニック))

また、医局を離れることを検討している先生や、医局に入るか迷っている先生に向けてのメッセージもお寄せいただいています。

人間力さえあれば、医局員でなくても評価されるように思います。
医局員の方は周りと比較せず、昨日の自分より成長したかどうかで頑張っていくべきではないでしょうか。(40代/一般内科/勤務医(大学病院以外の病院))

・特に独身のうちは、医局に属して研鑽を積むことは本来大事で、医局を通して学ぶことは多いと思います。
ただ、雑用に忙殺され、医局人事で精神的に疲弊した友人を見ていると、内容によっては「医局に属さない選択肢もあり」だとも感じています。
心身共にすり減ってまでしがみつく必要はないので、その時は迷わず離れることをオススメします。
免許があればなんとかなるので、ご自身を大切にしてほしいです。(40代/健診・ドック/勤務医(非常勤のみ))

・(医局に所属する・しないは)それぞれ向き・不向きがあると思うので、自分のスキルや背景を考えて決めるのが良いと思います。(30代/救急科/勤務医(大学病院以外の病院))

上記のコメントにもあるように、「医局に所属する・しない」について、どちらが良い・悪いということはありません。

昨今では医師のキャリアや働き方にも多様な選択肢があり、一人ひとりの状況や希望によって最適な選択が異なる時代といえます。

医師が働き方や勤務先を検討する際には、その環境で働くメリット・デメリットを含めた実情をしっかり把握したうえで、最適な選択をしていきたいものです。

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◆調査概要「医局に関するアンケート」

調査日:2023年6月6日~6月13日

対象:Dr.転職なび・Dr.アルなびに登録する会員医師

調査方法:webアンケート

有効回答数:447

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