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医療機関・医師が知っておきたい「宿日直許可」の許可基準と困った時の対処法

長時間労働の医師の労働時間短縮や健康保持、そして良質で適切な医療提供体制の確保を目的として、2024年4月から「医師の働き方改革」が施行されます。

今後はより厳格に医師の労働時間の管理が求められていくことに伴い、いま医療機関における「宿日直許可」への注目が集まっています。

本記事では医療機関および医師へ実施したアンケート結果をご紹介しながら、「宿日直許可」の許可基準や申請方法、そして許可を申請する医療機関やアルバイトを希望する医師が困った時の対処法・相談先などについて分かりやすく解説します。

医療機関が宿日直を取得するための「3つの許可基準」とは

病院の宿日直許可では「常態としてほとんど労働をする必要のないこと」が前提

宿日直とは、夜間や休日に医療従事者が何らかの業務のために医療機関に滞在することをいいます。
医療法(昭和23年法律第205号)第16条では、「医業を行う病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならない」と規定しています。

なお宿日直については労働基準法で許可基準が定められており、労働基準法第41条にて 宿日直勤務とは「通常の労働は行わず、労働者を事業場で待機させる」こととされています。
つまり宿日直について検討する際には、「常態としてほとんど労働をする必要のないこと」という考え方が大前提として存在しているのです。

医師をはじめとする医療従事者の宿日直については、その特殊性から 判断基準が個別に定められています(令和元年7月1日 厚生労働省発出「医師、看護師等の宿日直許可基準について」)。
その中で挙げられている条件の全てを満たし、かつ「宿直の場合は夜間に十分な睡眠がとり得るものである」場合に、宿日直許可を得ることができます

ここからは上記の「医師、看護師等の宿日直許可基準について」を参照しながら、医療機関が「宿日直許可」を受ける場合に満たすべき基準を確認していきましょう。

参照)厚生労働省「医師、看護師等の宿日直許可基準について

病院における宿日直の許可基準①「通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものである」

原則的に、通常の業務と密着した時間帯に宿日直を行うことは許可されていません。

通常の勤務時間が終了した後も、それまでと同様の業務を行っているような場合には「拘束から完全に開放された」とはいえませんので、その間の業務は宿日直の許可の対象とはなりません。

つまり、始業・終業時刻に密着した時間帯で業務(電話を受ける・盗難や火災防止を行う等含む)を行うことは認められないということになります。

病院における宿日直の許可基準②「一般の宿日直業務以外には、特殊の措置を必要としない軽度の又は短時間の業務に限る」

宿日直中に認められる業務はいわゆる「寝当直」としてイメージされるものであり、基本的には救急車やウォークイン患者の対応を行う場合には宿日直にはあたらないと考えられます。

しかし70年ぶりに改められた宿日直許可基準である「医師、看護師等の宿日直許可基準について」で宿日直中のものとして認められる業務範囲が緩和され、少々の診療であれば宿日直中に行う業務の範囲として認められるようになりました。

具体的には、以下のような例が挙げられています。

・ 医師が、少数の要注意患者の状態の変動に対応するため、問診等による診察等(軽度の処置を含む。以下同じ。)や、看護師等に対する指示、確認を行うこと

・ 医師が、外来患者の来院が通常想定されない休日・夜間(例えば非輪番日であるなど)において、少数の軽症の外来患者や、かかりつけ患者の状態の変動に対応するため、問診等による診察等や、看護師等に対する指示、確認を行うこと

・ 看護職員が、外来患者の来院が通常想定されない休日・夜間(例えば非輪番日であるなど)において、少数の軽症の外来患者や、かかりつけ患者の状態の変動に対応するため、問診等を行うことや、医師に対する報告を行うこと

・ 看護職員が、病室の定時巡回、患者の状態の変動の医師への報告、少数の要注意患者の定時検脈、検温を行うこと

出典:厚生労働省「医師、看護師等の宿日直許可基準について

病院における宿日直の許可基準③「一般の宿日直の許可の際の条件を満たしている」

医療従事者以外の業種にも適用される一般的な宿日直の許可基準では、宿日直の回数や手当に関する基準が示されています。

◆宿日直の回数には上限がある

1人の医師につき宿直勤務は週に1回まで、日直勤務に関しては月に1回が限度とされています。

ただし、次の要件を満たすことで(宿日直業務の実態に応じ)、これらの限度回数を超えて許可される場合もあります。

・事業場に勤務する18歳以上の者で、法律上宿日直勤務を行うことが出来る方が宿日直勤務をした場合でも人数が不足
・勤務の労働密度が薄い場合

◆宿日直の賃金には最低額が定められている

宿日直の手当には最低額が定められており、当該事業場において宿直又は日直の勤務に就くことの予定されている同種の労働者に対して支払われている賃金の一人1日平均額の1/3以上とされています。

なお、宿日直中に通常の勤務時間と同態様の業務に従事すること(医師が突発的な事故による応急患者の診療又は入院、患者の死亡、出産等に対応すること、又は看護師等が医師にあらかじめ指示された処置を行うこと等)があった場合には、医療機関は「時間外労働」として割増賃金を支払う必要があります。

ここまで、宿日直の許可基準についてご紹介しました。

2024年4月から始まる「医師の働き方改革」に向けて、宿日直の許可を受ける側となる医療機関の方だけでなく、勤務をする当事者となる医師も宿日直許可の基本的なルールをしっかり確認しておきましょう。

「宿日直許可」の申請方法と、医療機関が迷った時の対処法

「宿日直許可」の申請方法と、医療機関が迷った時の対処法

続いて、医療機関が宿日直許可の取得を希望する場合の申請方法をはじめ、困った時に相談できる窓口や参考となる情報もご紹介します。

医療機関による宿日直許可申請の流れ

労働基準監督署に宿日直許可の申請を行ってから許可を受けるまでの流れは、おおむね以下のとおりです。

【1】労働基準監督署に、申請書や付書類を提出
【2】労働基準監督官による実地調査
【3】許可相当と認められた場合に宿日直許可がなされ、許可書が交付される

宿日直許可の申請にあたっては、申請書に添付する資料も含め、所轄の労働基準監督署に最新の情報を確認・相談するようにしましょう。

全国労働基準監督署の所在案内(厚生労働省ホームページ内)

「限定した条件」での宿日直の許可申請ができるように

令和元年に発出された新しい許可基準である「医師、看護師等の宿日直許可基準について」において、宿日直許可の申請は 病院全体で申請する以外にも診療科や職種、時間帯、業務の種類などに限った申請が可能と明記されています。

このことによって、例えば以下のような形で宿日直許可の申請をすることもできるようになりました。

・救急告示病院であっても、輪番日でない日や救急外来患者の少ない時間帯に限定して申請する

・夜間・休日の業務量が多い救急外来を担当する医師は通常勤務、病棟管理を担当する医師の当直についてのみ申請する

病院全体で申請をすることのハードルが高いと考える医療機関の場合は、このように限定的な条件で申請するのも1つの方法です。

「Dr.転職なび」を運営するエムステージが実施したアンケートでも、宿日直許可を申請した医療機関の33.5%は、何らかの条件に限定して申請を行ったということが分かっています。

▼他の病院は、どのような条件で限定して申請している?詳しい結果はこちら▼

なお厚生労働省のホームページ等では、申請手続きの手引きに関する情報はもちろん、さまざまな許可事例・不許可事例紹介も確認することができます。

▶厚生労働省「宿日直許可申請に関する解説資料(参考事例)

また、令和4年4月からは厚生労働省本省のWebサイトに相談窓口が設置されています。
申請や制度の仕組み、手続きなどに関する問い合わせを幅広く受け付けていますので、迷うこと等がある場合にはアクセスしてみてはいかがでしょうか。

医療機関の宿日直申請に関するご相談について(厚生労働省ホームページ内)

2024年以降、当直関連のアルバイト探しで医師が迷った時の対処法

2024年以降、当直関連のアルバイト探しで医師が迷った時の対処法

2024年以降、「非常勤先からの収入減」で年収が低下する医師が多い

ここまでご覧いただく中で「2024年以降は、当直のアルバイトができなくなってしまうのでは?」と心配になってしまった医師の方は多いのではないでしょうか。

弊社が会員医師へ実施したアンケートでは、全体の32.8%を占める医師が「医師の働き方改革」以降は年収が減る見込みと回答していますが、そのうち80.5%の医師は「非常勤先からの収入が減ること」を年収減の要因として挙げています

最近では、医師からの「アルバイトを検討している病院で宿日直許可を取得しているか、または取得の意向があるかどうかが分からないと応募に乗り出せない」といった声をお寄せいただく機会が多くなっています。

2024年4月から始まる「医師の働き方改革」に向けて非常勤に関する情報収集を始めている先生方が増えていることが伺われます。

医師のアルバイト探しにおいて「宿日直許可」の有無が大きなカギになる

2024年4月から始まる「医師の働き方改革」では、罰則付きの医師の労働時間の上限規制が設けられます。

この上限規制では、常勤先以外での勤務も労働時間としてカウントされます。
その上で、労働時間の上限規制において定められた上限を超えないような勤務時間の管理が求められるのです。

ここで重要になるのが、医療機関の「宿日直許可」の取得有無です。

この「宿日直許可」を取得している医療機関への医局派遣や副業であれば、原則的に労働時間としてカウントされません
そのため、今後医師がアルバイトを検討する際には募集元となる医療機関が「宿日直許可を取得しているか否か」が大きく影響すると推測されています。
上記の調査においても、「今後医師アルバイトの求人票において、宿日直許可の取得状況が分かることは重要になる」と69%の医師が回答しています(「重要」「非常に重要」の回答を集計)。

「宿日直許可」取得済の病院での募集を効率的に探すなら、Dr.アルなびがオススメ!

2024年4月に向けて競争率がより激化していくと推測される医師アルバイト市場に迎え撃つためには、精度の高いアルバイト情報を効率的に入手できる環境を整えておくと安心です。

「Dr.転職なび」の姉妹サイトである「Dr.アルなび」では、求人の検索時に「宿日直許可」の有無で絞り込むことができる機能を搭載。
引き続き医療機関への宿日直許可取得状況のヒアリングに注力しながら、よりご利用いただきやすい医師アルバイト情報のご提供を目指していきます。

また「Dr.アルなび」では、先生専任のコンサルタントが丁寧にアルバイト探しをサポート。
宿日直許可をはじめ、「医師の働き方改革」にまつわるルール等をしっかりと踏まえたうえで、先生のご希望に合う募集をご案内いたします。

◆調査概要

「宿日直許可、医師の労働時間管理に関するアンケート」

調査日:2022年11月1日~11月18日

有効回答:286

対象:全国の病院・診療所・老健など

回答属性:急性期病院61院、ケアミックス病院77院、療養病院37院、回復期リハビリテーション病院21院、精神病院31院、有床診療所13院、有床診療所33院、老健3院、その他10院

調査方法:Webアンケート 

「医師の働き方改革以降の労働時間・年収変化について」

調査日:2022年12月6日~12月13日

有効回答:669

対象:Dr.転職なび・Dr.アルなびに登録する会員医師

調査方法:Webアンケート 

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Dr.転職なび編集部

ライター

Dr.転職なび編集部

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