• 検討中リスト
  • 閲覧履歴

【医師1,276人に調査】2024年スタート「医師の働き方改革」の認知度と労働環境の現状

これまでの固定時間・長時間労働を前提とした働き方から、多様で柔軟な働き方によってワークライフバランスを実現し、労働者が個々の事情に合わせて働き方を選択できる社会を目指して政府が推進する「働き方改革関連法」。一般企業などでは、2019年4月から順次適用が始まっています。

また 常態化した長時間労働をはじめ、厳しい労働環境におかれている医師の働き方を改善するため、厚生労働省は「医師の働き方改革」として2024年4月から医師の時間外労働上限規制などを適用することを決定しています。

エムステージでは2022年6月に「医師の働き方改革についてのアンケート」を実施し、1,276名の医師より回答を得ました。

本記事では、その集計結果や医師の声をご紹介しながら

・医師は「医師の働き方改革」についてどのくらい知っているか
・現在、医師はどのような働き方をしているか

についてみていきます。

アンケート調査で見えた「医師の働き方改革」に対する認知度

政府や厚生労働省が推し進める「医師の働き方改革」は2024年にスタートします。適用開始まで残り2年を切っていますが、医師は「医師の働き方改革」についてどの程度知っているのでしょうか。

医師向けに行ったアンケートの結果からは、「医師の働き方改革」に対する医師の認知度や関心はまだそれほど高くないという状況が浮き彫りになっています。

医師の働き方改革の「開始時期」を知らない医師は、全体の20%越え

2024年から医師の働き方改革の適用が始まることを「知っている」と回答した医師は、全体の約78%でした。一方、「知らない」と回答した医師は約22%で、医師の働き方改革に関する認知度は高いとは言いきれない状況であることが浮き彫りになりました。

Q:2024年4月から「医師の働き方改革」が適用されることを知っていますか?

Q:2024年4月から「医師の働き方改革」が適用されることを知っていますか?

医師の働き方改革に関する情報源は「インターネットの記事」が最多

医師の働き方改革についての情報収集を行う手段では「インターネットの記事」が最多でした。

「その他(自由回答)」で寄せられた回答では、「医師会」や「新聞(医療新聞、日経新聞)」、「ニュース」などが挙がっていましたが、複数名から「全く入手していない(50代男性・精神科 ほか)」「どうせ何も変わらないから、知らない(30代男性・その他の専門)」といった声も挙がっていました。

Q:「医師の働き方改革」に関する情報は、どこから発信されるものを入手していますか?(複数選択可)

Q:「医師の働き方改革」に関する情報は、どこから発信されるものを入手していますか?(複数選択可)

2024年以降の「自分の労働時間上限」を知っている医師は、全体の3割未満

2024年4月からは医師の働き方改革によって、時間外労働時間の上限規制がはじまります。この規制が2024年以降の自身の勤務時間にどのくらいの影響があるか「知っている」と回答した医師は、全体の30%未満でした。一方の70%を超える医師は、決して遠くない未来である約2年後の自身の働き方を知らないまま、勤務を続けています。

Q:2024年4月以降、ご自身の労働時間の上限は何時間となるか知っていますか?

医師の働き方の現状

続いて いま医師がおかれている労働環境や、自身の労働時間についてどのように感じているのか聞きました。

約15%の医師が、「1日あたり10時間以上」働いている

一般的な業種における法定労働時間は「1日8時間まで(休憩時間1時間除く)/1週間40時間まで」と定められています(労働基準法32条)。

しかし今回の調査では、1日あたりの労働時間が「8時間以下」(「6時間以下」または「7~8時間」)と回答した医師は、全体の56.4%にとどまりました。一方、1日あたり「8時間以上」(9~10時間、10~12時間、12時間以上)の勤務をしている医師は全体の約4割を占めており、なかでも1日あたり「12時間以上」働いている医師も約5%いることが分かりました。

Q:主たる勤務先(以下常勤先という)における「1日の労働時間(日勤)」は、どのくらいですか?

また時間外勤務の発生頻度について聞いたところ、時間外勤務が「全く発生しない」と回答した医師は全体の約35%にとどまり、3人に2人程度の医師が「週に1回以上」の時間外勤務に対応しています。

Q:常勤先における「時間外労働」は、どのくらいの頻度で発生しますか?

当直・オンコール対応も、医師の大きな負担に

ひと月あたり「当直を5回以上」担当している医師は全体の約9%、「オンコールを5回以上」担当している医師は全体の約18%を占めました。特にオンコールについては、「月10回以上」対応している医師が8%を超えています。

日勤だけではなく夜間の対応も、医師の過酷な労働環境に大きな影響を及ぼしていると推測されます。

Q:常勤先における「当直回数」は、月にどの程度ですか?

Q:常勤先における「オンコール回数」は、月にどの程度ですか?

睡眠・休日を満足に取れていない医師もいる

「4時間以下(3.1%)」「週1日も休みがないことが多い(9.1%)」など、睡眠や休日を十分に確保できていない医師も少なくないという状況がうかがえます。

Q:平日の「睡眠」はどのくらい確保できていますか?

Q:週あたりの「休日」はどのくらい確保できていますか?

医師は、いまの労働環境についてどのように感じているか

今回のアンケート結果からは、長時間の労働や頻回の時間外労働・夜間対応に追われ、睡眠や休日をしっかりと取れていない医師の働き方の現状がみえてきました。

では 医師自身は、自分の働き方についてどのように考えているのでしょうか。

4人に1人の医師が、いまの労働時間を「長い・かなり長い」と感じている

自身の労働時間について「適度である」と回答した医師が最多で、全体の約7割を占めました。一方「長い(19.4%)」「かなり長い(4.8%)」と感じている医師も、全体の約25%いることがわかりました。

Q:常勤先における「労働時間」について、どのように感じていますか?

◆長時間労働に苦しむ医師が「つらい」と感じているのは?

業務量や事務作業の多さ、自分の時間や休暇が取れないこと等が上位を占めています。

一方「その他(自由回答)」では、「時間ではなく、仕事が終わったら帰りたい(40代男性・内科系専門)」「やることがあまりない(30代・内科系専門)」といった意見もありました。これらの回答からは、自分の業務が終わっても同僚医師や上級医師の手前、帰宅しづらいといった状況が推測されます。

Q:長時間の勤務で、特につらいと感じていることを教えてください。(複数選択可)

▼長時間勤務にお悩みの先生は▼

過酷な労働環境が医師に与える影響は

4割の医師が、いまの働き方は「過重」と感じている

自身の労働環境について「過重ではない」と回答した医師は、約60%でした。

一方、全体の約40%はいまの労働環境を「過重」と感じていると回答しています。なかでも「心身に影響が出ている・これから出るのではと心配している」医師は約17%を占めており、過酷な労働環境が医師の健康にとって深刻な影響を与えているようです。

Q:現在の働き方は「過重」だと感じますか?

2人に1人以上の医師が「働き方を変えたい」と思った経験がある

労働時間による影響で、全体の半数を超える約57%の医師は「働き方の変更を検討した経験がある」と回答しています。

Q:これまでに、労働時間による影響で「働き方を変えたい」と思ったことがありますか?

働き方を変えたいと思った医師の4割以上が「転職」を選択

労働時間による影響で「働き方を変えたい」と考えた経験のある医師に、その際に取った行動を聞いたところ、最も多かった回答は「転職して、勤務先を変えた」(43.6%)でした。

一方、「何も行動せず、我慢した」(28.6%)という回答も多くありました。

また「その他(自由回答)」では、「裁判を起こした(50代女性・その他の専門)」「労働基準監督署に相談した(50代男性・その他の専門)」「留学を決めた(30代男性・外科系)」「フリーランスになった(40代男性・その他の専門)」と答えた医師もいました。

Q:(労働時間による影響で「働き方を変えたい」と思ったことがある医師のみ)

その時に、どのような行動を取ったか教えてください。(複数選択可)

非公開情報が多数!専任のコンサルタントが、働き方の選択肢をご案内します▼

「医師働き方改革」が目指すのは、医師の健康確保と勤務環境の改善

今回のアンケート調査で寄せられた医師の声からは、厳しい労働環境のなかで自身の働き方に危機感を持つ医師が少なくないという現状がみえました。

また「働き方を変えたい」と感じていても、約3割の医師は「何も行動せずに我慢した」と回答しており、いまの働き方に課題や疑問を感じながらもなかなか行動に移せないという医師たちの苦悩もうかがえる結果となっています。

今後の日本は、少子高齢化などの影響によって医療の需要がますます高まっていきます。

その医療を担う医師たちがおかれている過酷な労働環境を改善するため、2024年4月に適用開始となるのが「医師の働き方改革」です。この「医師の働き方改革」により、医師の働き方はどのように変わるのでしょうか。

▼「医師の働き方改革」関連記事もチェック▼

▼調査概要「医師の働き方改革についてのアンケート」

調査日:2022年6月23日

対象:Dr.転職なび・Dr.アルなびに登録する会員医師

回答数:1,276人

医師アンケートにご協力お願いします

Dr.転職なび編集部

ライター

Dr.転職なび編集部

医師の転職、キャリアアップ応援コンテンツを提供する「Dr.なび」編集部です。医師転職サービスを提供する株式会社エムステージが運営しています。

転職・アルバイトの情報をお探しの医師の方、キャリアアップをお考えの方、ぜひお問い合わせボタンからご相談ください。

関連記事

ページトップへ戻る