• 検討中リスト
  • 閲覧履歴

【医師の働き方改革】医療機関の対応状況と宿日直許可/現場の医師が求めていることは?

医師の働き方改革_医療機関の対応と医師の意見.

いよいよ「医師の働き方改革」が、2024年4月からスタートします。医療機関では、労働時間の上限規制や追加的健康確保措置、そして時間外割増賃金率の引き上げといった施策によって、長年の課題であった医師の時間外労働への対応を求められることになります。

医療機関が医師の時間外労働と向き合うためには、まずは医師の労働環境の現状を把握することが前提となります。しかし多くの勤務医は、常勤先以外にも医局派遣や副業でほかの医療機関でも勤務するケースが多く、その勤務形態は複雑で特殊なものとなっています。

「医師の働き方改革」の開始まで 残すところ2年を切った今、果たして医療機関では「医師の労働時間」に関する対応や準備がどのくらい進んでいるのでしょうか。

本記事では、2022年6月に当社が実施した医師へのアンケート(回答数1,276)の集計結果や医師の声をご紹介しながら、「医師の働き方改革」に向けた医療機関の進捗状況や、医師自身が「医師の働き方改革」についてどう考えているか等、詳しくお伝えします。

医療機関は「医師の労働時間」をどのくらい把握している?

医療機関は「医師の労働時間」をどのくらい把握している?

2024年に始まる医師の働き方改革で大きなポイントとなるのが、「時間外労働の罰則付き上限規制」の適用です。この規制では、医師や医療機関の特性に応じた水準(A水準・B水準・C水準)が設けられており、各水準で時間外労働の上限が決められています。

この上限に則った働き方を実現するためには、「いま自院で勤務する医師は、どのような働き方をしているのか」という実態を医療機関が把握することが必要となります。

では実際にどのくらいの医療機関が、勤務医の勤務時間(時間外労働や外勤含む)を把握しているのでしょうか。

勤務医の労働時間を把握している医療機関は、約半数にとどまる

医師を対象としたアンケートでは、約45%の医療機関は 勤務医の労働実態を把握していない可能性がある(「把握していない」「分からない」の回答を合計)、という結果となっています。

Q: 常勤先は、ご自身の「時間外労働・休日労働の実態」を正確に把握していますか?

Q: 常勤先は、ご自身の「時間外労働・休日労働の実態」を正確に把握していますか?

約15%の医師が、常勤先に「勤怠管理をされていない」と認識

アンケートで勤怠管理の方法を尋ねてみたところ、「手動のタイムカードで打刻」している医師が全体の4割ほどで、最多となりました。一方、「勤怠管理されていない」と回答した医師が14.7%も存在しています。

また「その他」として「秘書が管理(40代男性/内科系専門/一般病院勤務)」や「事務員が把握している(30代女性/その他の専門/クリニック・診療所勤務)」など、自身以外のスタッフが管理しているという回答もありました。

Q:常勤先における勤怠管理は、どのような方法で行われていますか?

Q:常勤先における勤怠管理は、どのような方法で行われていますか?

2024年以降、医師アルバイトの鍵を握る「宿日直許可」

2024年以降、医師アルバイトの鍵を握る「宿日直許可」

現在、多くの医師は医局派遣や副業として、常勤先以外の医療機関でも勤務をしています。2024年以降は、このような常勤先以外での勤務も労働時間としてカウントされます。その上で、労働時間の上限規制において定められた上限を超えないような勤務時間の管理が求められます。

ここで重要になるのが、医療機関の「宿日直許可」の取得有無です。

この「宿日直許可」を取得している医療機関への医局派遣や副業であれば、原則的に労働時間としてカウントされません。一方の「宿日直許可」を取得していない医療機関での勤務は「労働時間」とみなされるため、医師から敬遠されてしまい、アルバイトの募集を出してもなかなか人員を確保できないという可能性も出てきてしまうのです。

このような理由から今後医師がアルバイトを検討する際には、募集元となる医療機関が「宿日直許可を取得しているか否か」が大きく影響すると推測されています。

▼こちらもチェック:宿日直許可のルールを詳しく解説!

約7割の医師は、宿日直許可の基準や内容を「知らない」

アンケートでは、「詳しく知っている」と回答した医師は約7%にとどまりました。一方で、「あまり知らない」「全く知らない」と回答した医師は67.4%となっており、医師の宿日直許可に関する認知度はまだ低いという傾向がみられました。

Q:医師の勤務時間の管理において大きな影響があるとされる「宿日当直許可」の基準や内容を知っていますか?

Q:医師の勤務時間の管理において大きな影響があるとされる「宿日当直許可」の基準や内容を知っていますか?

約8割の医師は、勤務先の宿日直許可の取得状況を「知らない」

2024年度以降の労働時間管理において、必ず確認が必要となる常勤先や外勤先の宿日直許可の取得状況「知っている」と回答した医師は約20%にとどまっています。

Q:常勤先や副業先の医療機関が「宿日当直許可」を取得しているか知っていますか?

Q:常勤先や副業先の医療機関が「宿日当直許可」を取得しているか知っていますか?

求人票に記載していない【非公開】の詳しい情報もご提供可能/

医師からみた、医療機関の「医師の働き方改革」への準備状況

医師からみた、「医師の働き方改革」に対応する医療機関の準備状況は?

医療機関は「医師の働き方改革」が始まる2024年4月に向けて、医師の労働時間管理や宿日直許可の取得申請をはじめとする様々な対応・取り組みを求められていますが、実際の進捗はどのようになっているのでしょうか。

約75%の医師は、常勤先の医師の働き方改革は「進んでいない」と認識

医師へのアンケートで常勤先の医療機関における医師の働き方改革の進捗状況を尋ねたところ、「進んでいる」と回答したのはおよそ4人に1人。一方、約75%と大半の医師は「進んでいない」と認識していることが分かりました。

Q:常勤先での「働き方改革」は進んでいると感じますか?

Q:常勤先での「働き方改革」は進んでいると感じますか?

準備が進む医療機関では、「労働時間の把握」や「時間外労働の是正」に注力

自身の常勤先における医師の働き方改革に向けた準備が「進んでいる」と回答した医師に、院内で実施されている取り組みを尋ねたところ「勤怠管理の徹底」、「時間外勤務の削減促進」、「有給休暇取得の促進」が上位を占めました。

Q:常勤先で実施している取り組みなどを教えてください。(複数選択可)

Q:常勤先で実施している取り組みなどを教えてください。(複数選択可)

準備が進んでいない医療機関では、「医療機関の意識改革」を望む声が最多

自身の常勤先で医師の働き方改革に向けた準備が「進んでいない」(常勤先での医師の働き方改革が「まだ進んでいないが、今後進むと思う」または「まだ進んでおらず、今後も進まないと思う」と回答した医師)に、準備を進めるために必要なことを聞いたところ、医療機関の「意識改革」や「制度見直し・整備」「労働状況などの現状把握」が上位を占めました。

また「その他」として、「過重労働に対し罰則を設ける(50代男性/その他の専門/診療所・クリニック勤務)」や「経営者(個人オーナー院長)の意識改革(60代男性/その他の専門/一般病院勤務)、「患者の意識変容(40代女性/その他の専門/診療所・クリニック勤務)、「医師自身の意識改革(40代男性/外科系専門/一般病院勤務)」などの意見があがっています。

Q:「働き方改革」を進めるために、どのようなことが必要だと思いますか?(複数選択可)

Q:「働き方改革」を進めるために、どのようなことが必要だと思いますか?(複数選択可)

約86%の医師は、転職時に「働き方改革への取り組み状況」を重視

もし転職する機会があったら、医療機関の働き方改革への取り組み状況を「重視する」または「まあ重視する」と回答した医師は、全体の85.9%を占めました。

医師の働き方改革への取り組みは、医師に選ばれる医療機関の条件として重要なポイントとなっているようです。

Q:今後転職を検討することがあった場合、転職先を選ぶポイントとして「医療機関の働き方改革への取り組み状況」を重視しますか。

Q:今後転職を検討することがあった場合、転職先を選ぶポイントとして「医療機関の働き方改革への取り組み状況」を重視しますか。

「医師の働き方改革」への取り組み状況など、内部情報も徹底調査

「医師の働き方改革」に対する 医師の意見

「医師の働き方改革」に対する 医師の意見

最後に、自由回答でお寄せいただいた医師からのコメントを抜粋してご紹介します。

Q:「医師の働き方改革」に期待していることやご提案・ご感想などがありましたら、自由にお聞かせ下さい。

医師の働き方改革導入後の収入減への懸念

・労働時間だけでなく、適正な金額の給与の支払いについても同時に整備されなければ、ただの減給となると懸念しています。(20代男性/内科系専門/大学病院勤務)

・真面目に適用したら大学病院は間違いなく崩壊する。大学病院の給与改正とセットでしないと、皆退職すると思う。(40代男性/外科系専門/大学病院勤務)

・常勤先の給料が少なく、外勤や当直バイト等で補填している。今後、バイトが十分に出来なくなる場合には、対策を考えなければと思っている。(40代男性/内科系専門/一般病院勤務)

・労働時間が短縮されてもやるべき仕事量が減らないなら収入が減る分だけ、仕事に対するモチベーションは下がる。(60代男性/内科系専門/一般病院勤務)

勤怠管理の徹底や、時間外手当の適切な支給を

・早朝のカンファレンスや就労後の医局会が時間外勤務にならない。(40代男性/外科系専門/一般病院勤務)

・時間外勤務は満額しっかり支給して欲しい。気持ち的にも辛くなる。(40代男性/その他の専門/一般病院勤務)

・働き方改革に則れるように時間外勤務を制限した結果、かえって無償労働を求められるようになった。(30代男性/外科系専門/一般病院勤務)

・「働き方改革」を根拠に、短時間労働・軽負荷労働となる医師がいる一方、「名ばかり管理職・理事・経営者」の肩書をつけられ、労働時間規制除外となる医師がそのしわ寄せを被るような事態が憂慮されます。チェック機能を考える必要があると思います。(40代男性/その他の専門/一般病院勤務)

・現在は産業医であり企業勤めである。病院との時間外業務に対する管理体制やその対応の違いに驚いた。自己研鑽の言葉で、医師の時間外労働が片付けられないことを期待する。(30代男性/その他の専門/企業など勤務)

柔軟で段階的な導入であるべき

・強制的に労働制限されると、収入の低下を招くケースもあり、ある程度自己決定を伴う流動的なものにして頂きたい。(40代男性/その他の専門/一般病院勤務)

・働き方改革よりも、個人が柔軟に契約できることが大切と考えます。厳しい時間規制は職種に馴染まない。(50代男性/内科系専門/診療所・クリニック勤務)

・働き方改革で上限を設定されるのは心外。寧ろ、働きたいヒトには、働きたいだけ働く権利を保証すべき。(40代男性/その他の専門/一般病院勤務)

・常勤の病院での労働環境の管理は重要と考えますが、非常勤勤務や当直については医師の個人的な意思で行っている場合もある。最初から規制の範囲に入れないで、段階的導入が良いのではないでしょうか?そうしないと民間病院の一部は人手不足になる可能性があると思います。(60代男性/外科系専門/大学病院勤務)

・そもそも医療機関で他人の命や生活を背負っている中、時間外申請できる上限など時間で区切る意味もわかりません。ボランティアで重い責任を負えなど、是非やめていただきたい。(30代男性/内科系専門/大学病院勤務)

・医師に労働時間制限を設けることは間違っています。日本が人為的な医療過疎になってしまう。(70代男性/内科系専門/一般病院勤務)

医師の業務負担軽減を

・当直、オンコールが嫌で、それらが無い仕事にしました。当直は規制されると思うがオンコールについても定義や規制をしてほしい。(40代女性/内科系専門/診療所・クリニック勤務)

・主治医性制の廃止。複数主治医制度が広まれば良いと思います。(40代男性/外科系専門/一般病院勤務)

・1人医長など個人に負担がかかることは減る傾向になると良いのではと思う。(20代男性/その他の専門/一般病院勤務)

医療機関の経営者や受診する患者などの意識変容が必要

・働き方は経営者の認識がカギになるので、情報が多方面から出て周知されることを望みます。(50代女性/その他の専門/診療所・クリニック勤務)

・医師は聖人やボランティアではなく、一職業であることをもっと国民に周知してほしい。(30代女性/外科系専門/診療所・クリニック勤務)

・医師の働き方そのものもあるが、むしろ医療体制に対する理解が浸透していない患者や患者家族の方が問題である。医者の数や働き方という話だけではなく、そもそものモラルや理解の低さも大きな問題です。(30代男性/内科系専門/一般病院勤務)

・時間外受診を減らすなど患者側にも変化してもらわないとならない。(50代男性/内科系専門/一般病院勤務)

改革は難しい/期待していない/意識していない

・現状では地方など医師の少ないところでは、改革案通りは困難だと思う。(40代男性/その他の専門/一般病院勤務)

・労働内容は変わらないのに勤務時間だけを減らすことはできないのだから、給与がつかない時間外労働が増えて、見た目上は勤務時間が上限以内に収まっている状況になると思う。(40代男性/その他の専門/一般病院勤務)

・今のところ改革に期待することはなく、むしろ邪魔だと感じております。(50代男性/その他の専門/一般病院勤務)

・フリーランスで自由にやっているので、あまり意識していない。(50代男性/その他の専門/非常勤のみ勤務)

その他の意見

・初期研修医が超過勤務手当や代休の話ばかりするようになった。医師としてどのような成長をするか、という発想が希薄になっていると感じる。(40代男性/その他の専門/一般病院勤務)

・国の政策以前に以前に自分で工夫することが先。(50代女性/外科系専門/一般病院勤務)

・産休、育休の取得促進が必要。(40代女性/その他の専門/その他施設勤務)

最新の動向をチェックしながら、2024年以降の働き方の見通しを

最新の動向をチェックしながら、2024年以降の働き方の見通しを

「医師の働き方改革」は長年の課題であった医師の過酷な労働環境を改善し、医師の健康状態を守ること。そして、日本の医療の質や安全性を確保し、継続することを目指しています。

しかし今回のアンケートでは、まだ医師自身の「医師の働き方改革」に対する認知度や理解度が低かったり、医療機関によって対応や取り組み状況に差があったりと、実際に医師の働き方改革が始まるまでには まだまだ課題が多いという現状が浮き彫りになりました。

さまざまな問題をはらみながらも、「医師の働き方改革」に関する議論が2024年に向かって進められています。実際に適用開始となるまで あと少し時間が残されていますが、その間も最新の情報を入手しながら、今後の勤務環境やQOLの改善を検討してみてはいかがでしょうか。

▼「医師の働き方改革」特集 ・こちらの記事もチェック!

◆調査概要「医師の働き方改革についてのアンケート」

調査日:2022年6月23日

対象:Dr.転職なび・Dr.アルなびに登録する会員医師 

回答数:1,276人

医師アンケートにご協力お願いします

Dr.転職なび編集部

ライター

Dr.転職なび編集部

医師の転職、キャリアアップ応援コンテンツを提供する「Dr.なび」編集部です。医師転職サービスを提供する株式会社エムステージが運営しています。

転職・アルバイトの情報をお探しの医師の方、キャリアアップをお考えの方、ぜひお問い合わせボタンからご相談ください。

関連記事

ページトップへ戻る