
日本の医療機関で働く全医師の約20%を占め、全診療科のなかでも最も人数が多い内科医。
幅広い疾患の診察や治療にあたるジェネラリストとして、活躍する場は多岐にわたっています。
本記事では 内科医の平均年収や主な業務内容、勤務先ごとの労働環境や働き方などを分かりやすく解説します。
内科医のニーズは高い
厚生労働省「令和2(2020)年医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によると、主たる診療科を「内科」とする医師は、全国で61,514 人となっています。
主たる診療科と施設の種別にみた医療施設に従事する医師数をみてみると、病院で働く内科医の数は21,950 人 (10.1%)※、診療所においては39,564 人(36.9%)と、それぞれの施設内で最も高い割合を占めています。
また、厚生労働省「必要医師数実態調査」で必要とされる内科医の数は3,976.0人で、調査対象となった全診療科のなかで最も多くなっています。
これらのデータからは、すでに内科医はすべての医師の中でも多くの割合を占めているにも関わらず、日本の医療現場からはさらに多くの内科医が求められているということが分かります。
(※)臨床研修医を除く
内科医の年収事情は?

上記でご紹介したような内科医へのニーズの高さは、年収にも反映しているのでしょうか。
独立行政法人労働政策研究・研修機構による「勤務医の就労実態と意識に関する調査」をもとに確認していきましょう。
内科医の平均年収は、1247.4万円
「勤務医の就労実態と意識に関する調査」によると、内科医の平均年収は1,247.4万円となっています。
これは、調査対象となった診療科の全体の平均年収である1267.7万円よりも、やや低い水準です。
内科医の年収は、個人差が大きい
次に内科医のみに絞り込んで、平均年収の分布を確認してみましょう。
▼内科医の主たる勤務先の年収
年収帯 | 内科医全体に占める割合(単位:%) |
---|---|
300万円未満 | 3.5 |
300~500万円未満 | 7.1 |
500~700万円未満 | 7.4 |
700~1000万円未満 | 13.5 |
1000~1500万円未満 | 29.2 |
1500~2000万円未満 | 28.4 |
2000万円以上 | 10.9 |
※独立行政法人労働政策研究・研修機構「勤務医の就労実態と意識に関する調査」をもとに編集部で作成
内科医の年収帯として最も多いのは1,000万円~1,500万円で、2,000万円以上の年収を得ている医師も10%以上となっています。
一方で年収500万円以下の医師も10.6%存在しています。
これは、調査対象となった診療科のなかで3番目に高い数値です。
これらの結果からは、内科医の年収は 高水準の年収を得ている医師と、そうでない医師の間の差が比較的大きいということが推測されます。
医師の年収は、勤務先や働き方によって大きく変動します。
「いま自分が提示されている年収帯は、果たして適正なものなのだろか?」と気になっている医師の方も多いかと思いますが、年収などお金に関することは近くの方にはなかなか聞きづらい話題ですよね。
そのようなときは、医師専門の転職エージェントに聞いてみるのも良いでしょう。
医師専門の転職エージェントのもとには、医師募集に関する多くのデータや事例・経験が蓄積されていますので、偏りのない広い視点から情報を集めることができます。
また第三者的な立場のエージェントであれば、同年代の医師がどのくらいの年収を提示されているのか、今より年収を上げるためにはどのような働き方があるかといった話も気兼ねなくすることができるのでおすすめです。
内科医の仕事内容や働き方

次に、内科医に求められる業務内容や、施設ごとの働き方の特徴をご紹介します。
内科医は、幅広い領域で柔軟な対応を行うジェネラリスト
内科医は、内臓や血液、神経など全身に現れる幅広い症状や疾患に対して、不調の原因を総合的に診断し、投薬を中心とした治療を行います。
また、慢性疾患から急性疾患まで様々な状態にある患者さんへの対応や、必要に応じて関係する専門科の医師と連携するといった機会もあり、柔軟性やコミュニケーション能力といった資質が求められる場面も多くあります。
内科医の働き方は、勤務先によって変動する
内科医は、様々な医療機関や施設で活躍しています。
ここでは内科医の職場の代表例である有床または無床の医療機関、介護保険施設、健診における働き方の特徴についてご紹介します。
有床の医療機関
入院医療を提供している病院やクリニックでは、外来診療のほかに入院患者の管理や当直、オンコール対応も業務に含まれるケースが多くなっています。
そのため、業務量が多く時間外勤務が増えたり、緊急時の呼び出しなど夜間対応を求められたりと忙しい労働環境となる傾向があります。
報酬面では多忙な勤務となる分、時間外手当や当直手当などがあるため、給与水準は高くなります。
無床の医療機関
時間外勤務が発生しづらく、オンとオフをしっかりと切り替える働き方を実現しやすいので、ワークライフバランスを重視して働きたい医師や育児との両立を希望する女性医師などから高い人気があります。
当直や時間外手当が発生しないため年収帯は比較的低めとなっていますが、院長職候補などで採用された場合には高額給与の提示を受けられる場合もあります。
また、昨今では在宅医療専門のクリニックも多くあります。
24時間体制の対応で激務というイメージがあるかもしれませんが、常勤医師の軽減負担のために非常勤医師が夜間業務は対応するなど、タスクシフトが進んでいる施設も増えています。
在宅医療における内科医のニーズは特に高く、年収2,000万円を超えるような高額報酬の募集も少なくありません。
介護保険施設
高齢化が進む日本では、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護療養型医療施設のように、介護保険サービスとして利用できる公的施設が増えています。
このような施設では医師の配置が義務付けられており、多くの医師が活躍しています。
主な業務内容としては、利用者の健康管理や急変時の対応、看取りの対応などです。
オンコール対応が求められる施設もありますが、有床医療機関と比べるとその頻度は低いことが多く、比較的ゆったりとした勤務となります。
そのため、ベテラン医師のセカンドキャリア先としての人気も高く、エリアによっては募集が出るとすぐに埋まってしまうというケースもよくあります。
健診
健診というと、春や秋などの健康診断の時期に多くの募集が出るアルバイトでの経験がある医師もいるかもしれません。
健診対応は内科医が業務の一環として担当することも多く、アルバイト以外にも健診センターでの常勤といった働き方もあります。
時間外対応や当直業務がなく勤務時間が決まっているので、かなり仕事とプライベートの両立がしやすい労働環境といえます。
報酬面は低い傾向がありますが、内視鏡検査に対応できる、資格を保有しているといった健診で活かせるスキルがある場合には、好待遇となる可能性もあります。
内科医が年収を増やすための方法

内科医が年収をアップしたいと考えるときには、以下のような方法が有効です。
民間の医療機関へ転職する
一般的に民間病院より給与が低い大学病院の勤務医の平均年収は、800~1,000万円と言われており、国公立病院の場合には平均年収は600万円程度のケースもあります。
より専門性の高い症例や最新の医療技術を経験できるなど、医師としてのスキルを高められることが大きな魅力の大学病院ですが、年収面では民間病院と大きく差があるのが実情です。
いま大学病院や公的な病院で勤務している場合には、医療法人などが運営する医療機関へ転職・入職することで年収アップを実現できる可能性は高いといえます。
アルバイトで副収入を得る
常勤先から支給される年収に加えて、アルバイトによる副収入を得ている医師は、内科医に限らず数多く存在しています。
例えば、70,000円/日の健診アルバイトで月4回勤務する場合には、
・70,000円×4回×12か月=3,360,000円
となり、年間で336万円という大きな副収入を得ることができます。
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内科医には、病院やクリニック、介護保険施設などさまざまな活躍の場があります。
しかしその勤務先や担当する業務によって、受け取る報酬面は大きく変わってきます。
内科医が勤務先を検討する際には、自分が医師として仕事に対して何を求めるのか、どのような働き方をしていきたいのかなどを十分に考慮して検討することをおすすめします。
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