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約7割の医師が経験…ペイシェントハラスメントとは?予防策や対応のポイントを解説

約7割の医師が経験…ペイシェントハラスメントとは?予防策や対応のポイントを解説

医師をはじめとする医療従事者が、患者やその家族等から受ける暴言や暴力・セクハラ・治療費未払い等の迷惑行為のことを、ペイシェントハラスメントといいます。

今回「Dr.転職なび」では、ペイシェントハラスメントに関するアンケートを実施。

過去にペイシェントハラスメントを受けたことがある医師・321名の回答をもとに、ペイシェントハラスメントの実情や具体的な事例、ペイシェントハラスメントの予防策、対応のポイント等をまとめました。

約7割の医師が経験…ペイシェントハラスメントの実情

69.6%の医師は、ペイシェントハラスメントの経験がある

本調査では、69.6%にも上る医師が「ペイシェントハラスメントを経験したことがある」と回答しています。

Q:診察を行う中で、理不尽な要求やクレーム等の迷惑行為(以下 ペイシェントハラスメント)を受けたことがありますか?

Q:診察を行う中で、理不尽な要求やクレーム等の迷惑行為(以下 ペイシェントハラスメント)を受けたことがありますか?

「患者本人」からのペイシェントハラスメントが最も多い

ペイシェントハラスメントの主体者を尋ねた質問では「患者本人」(回答数:252)が最多となり、「患者の家族・親類」(回答数:188)が続いています。

Q:誰から、ハラスメントされましたか?(複数選択可)

Q:誰から、ハラスメントされましたか?(複数選択可)

ペイシェントハラスメントを受けた場所は「外来の診察室」が最多

さらに医師がハラスメント行為を受けた場所を聞いたところ、「外来の診察室」(回答数:251)が最多となり、外来診療中にペイシェントハラスメントが発生していケースが多いことが推察されます。

Q:どんな場所で、ハラスメントされましたか?(複数選択可)

Q:どんな場所で、ハラスメントされましたか?(複数選択可)

次いで「病棟」(回答数:122)や「電話」(回答数:65)でペイシェントハラスメントを受けたという回答も多く、「その他」では受付や面談室、投書、口コミという回答が寄せられています。

【実例】ペイシェントハラスメントのきっかけや具体的な内容

【実例】ペイシェントハラスメントのきっかけや具体的な内容は?

ペイシェントハラスメントのきっかけは「治療方針や内容」が最多

ペイシェントハラスメントのきっかけを尋ねた質問では、「治療方針、内容」(回答数:224)が最も多くなりました。

Q:どのような内容に対するものでしたか?(複数選択可)

Q:どのような内容に対するものでしたか?(複数選択可)

それに続く「医師(自身)の言動」(回答数:102)や「待ち時間」(回答数:99)も、ペイシェントハラスメントの要因となってしまうケースが多くあるようです。

約9割の医師は、「言葉によるハラスメント」を経験

ハラスメント行為の具体的な内容では「暴言、怒鳴るなど言葉によるもの」(回答数:286)が最多であり、ペイシェントハラスメントを受けた医師の89.1%が言葉によるハラスメントを経験していることが分かります。

Q:どのようなハラスメントを受けましたか?

Q:どのようなハラスメントを受けましたか?

医師から寄せられた、ペイシェントハラスメントの実例

◆暴言、怒鳴るなど言葉によるもの

・夜間救急外来に、泥酔で運ばれてきた患者がいた。
付き添いの友人が「お前ら、研修医だろ。お前らなんかに診察できるかよ」と暴言を吐き、頭を叩いてくるような暴力行為もあった。(40代/一般内科(訪問診療)/勤務医(非常勤のみ、フリーランス))

・大学病院の当直帯で勤務していた時、夜中の3時に電話があり、「喉が痛い。明日は仕事で受診できないから、これから診て欲しい」と言われた。
緊急時の対応しかしていない旨を伝えて明日近医への受診を勧めたところ、激怒。「名前を名乗れ、今から行くからな。覚えていろよ。」と身の危険を感じる事を言われて脅されたので、警備員に対応を代わってもらった。(30代/耳鼻いんこう科/勤務医(診療所・クリニック))

・内縁の妻と反りが合わない患者が、体動困難で入院したにも関わらず「家に歩いて帰らせろ」等わめき続けるため1回に1時間程度は拘束され、恫喝。
さらには、家族を含む殺害予告をされた。(30代/総合診療科/勤務医(大学病院以外の病院))

◆居座り行為

・不要な検査を要求された。正当な理由があり、検査はできない旨を伝えたところ、数十分居座られた。(40代/消化器内科/勤務医(診療所・クリニック))

しつこく質問を繰り返し、時間を浪費させられた。(70代以上/消化器外科/勤務医(非常勤のみ、フリーランス))

◆殴る、物を投げるなど身体的なもの

・急に怒り出して、蹴られた。(50代/循環器内科/勤務医(大学病院以外の病院))

・深夜に緊急でない疾患(いつももらっている薬の処方依頼)で来院したため、日中に来るように指導したら激昂し、かばんを机に叩きつけられた
机のガラス製マットが割れた。(50代/消化器外科/勤務医(大学病院以外の病院))

・定期訪問診療先で、高齢男性から処方希望があり処方した。
しかし「希望したものと違う。薬を持ち帰って、お金を返して!もう来るな!」と言って台所に行き、塩を投げつけられた。包丁でも取り出されて刺されるのではないかと思うほどの形相だった。(30代/一般内科(訪問診療)/勤務医(診療所・クリニック))

◆治療費を払わない

・「酔っていて、治療を求めていないのに勝手に救急搬送されたから、支払いはしない」というのはざら。
「レントゲンで明らかな骨折はない」と話した途端貸し出した松葉杖ごと脱走した人等、色々な患者がいました。(40代/一般内科/勤務医(診療所・クリニック))

◆インターネットを悪用した脅し

・ 診療内容を勝手に録音。
個人情報を詳細に調べ上げ、その音源と一緒にネットで晒すと脅してきた。(30代/泌尿器科/勤務医(大学病院以外の病院))

ペイシェントハラスメントを受けた医師の74.1%が「身の危険を感じた」

上述のようなペイシェントハラスメントで大きなストレスを受け、憔悴してしまう医師も少なくないはずです。

本調査でも、実際にペイシェントハラスメントを経験した医師の約25%は「身の危険を強く感じた」と回答しています。

Q:ペイシェントハラスメントを受けて、身の危険を感じましたか?

Q:ペイシェントハラスメントを受けて、身の危険を感じましたか?

「身の危険をやや感じた」との回答も含めると、全体の7割を超える医師がペイシェントハラスメントを受けて身の危険を感じていたことが明らかになりました。

ペイシェントハラスメントが発生する要因

ペイシェントハラスメントが発生する要因

それでは、多くの医師が身の危険を感じてしまうペイシェントハラスメントが発生してしまう要因には、どのようなものがあるのでしょうか。

本調査では「患者等 ハラスメントをする当事者自身に問題がある」(回答数:284)が最多となり、ハラスメントの主体者側に問題があると考える医師が多いことが分かります。

Q:ペイシェントハラスメントが起こる原因は、何だと思いますか?(複数選択可)

Q:ペイシェントハラスメントが起こる原因は、何だと思いますか?(複数選択可)

ハラスメントの主体者側の要因

医師から寄せられた具体的なコメントは以下の通りです。

◆患者等 ハラスメントをする当事者に問題がある

・患者の性格的な問題。(30代/循環器内科/勤務医(大学病院))

・我慢できない人は、何処へ言っても、我慢できない(60代/一般内科/勤務医(大学病院以外の病院))

・ハラスメントを起こす方の思考回路は、なかなか修正できない。(60代/一般内科/勤務医(診療所・クリニック))

◆医療への過剰な期待や、サービス要求

患者は「必ず治るもの、痛みがなくなるもの」との過剰な期待を抱いて医療機関を受診してしまうケースもあります。

また医療従事者が患者を「お客様」として丁寧に扱い過ぎることによって、患者の権利意識が向上し、自分本位な要求や傍若無人な振る舞いに発展してしまう場合もあるようです。

「クレームや要求は、言ったもの勝ち」と思っている患者が増加している。
同時に医療機関側の場当たり的な対応にも、原因があると感じる。(50代/麻酔科/勤務医(診療所・クリニック))

患者や家族が、医療に過剰な期待をしている
タダ同然の費用負担で高度な医療が受けられる現制度が手厚すぎて、医療を当たり前と感じている人が多いことが遠因。(50代/形成外科/勤務医(大学病院以外の病院))

・患者に嫌われないように媚びをうったり、必要のない迎合をしたり、何でも言いなりになって診断書を書いてしまったりすると、相手は甘えて増長してくる。
一人に甘くすると、その話を聞いた人が次々と同じ要求をしてくるので、負の連鎖が止まらなくなると思う。(50代/産婦人科/勤務医(大学病院以外の病院))     

医療従事者・医療機関側の要因

一方でペイシェントハラスメントは、ハラスメント自体は容認されないとしても、医療従事者や医療機関側にもその要因があるという声も複数あがっています。

◆患者や家族への十分なインフォームドコンセント(説明と同意)ができていない
◆患者や家族との対話が不足している

診療方針や検査について事前の説明が不足していたり、患者の不安や質問を聞かず高圧的な態度で接したり、患者の言うことを聞き流すような対応をしてしまうと、患者は不満や不信感を募らせてしまうでしょう。

どの検査にどのくらい費用がかかるのかを、患者が知る機会がない。(40代/一般外科/勤務医(大学病院))

特に難しい病状の場合、患者さんの感情の動揺が収まるのを待つ必要もある
それを無視して短時間で事務的に処理してしまうと、感情が爆発しハラスメントに繋がることがある。(50代/一般内科/勤務医(診療所・クリニック))

・「もっと丁寧に接していれば、同じ結果にはならなかったのではないか」と思うことはあります。(50代/一般内科/勤務医(大学病院以外の病院))

◆待ち時間への対応が適切でない

待ち時間が長くなる旨の、患者への伝達方法。診察が近くなったら、携帯電話に電話するなどの対応が必要だと思う。(40代/呼吸器内科/勤務医(健診施設や老健など))

上述のように医療従事者や医療機関側にも要因がある場合には、対策によってペイシェントハラスメントの発生を予防できる可能性もあります。

全てのペイシェントハラスメントを「主体者側に問題がある」と決めつけるのではなく、「医療従事者や医療機関側にも原因や落ち度はなかっただろうか」という姿勢で検証してみることも大切なのかもしれません。

ペイシェントハラスメントに備える!医師が知っておきたい「2つの知識」

ペイシェントハラスメントに備える!医師が知っておきたい「2つの知識」

いつどこで起こるか分からないのが、ペイシェントハラスメントです。

本章では、思いがけずハラスメント行為に遭遇してしまった時に適切な対応を取れるよう、医師が知っておきたい知識を2つご紹介します。

ペイシェントハラスメントを受けても、対応方法が分からず我慢してしまう医師が多い

実際にペイシェントハラスメントを受け後の行動を尋ねた質問では、全体の58.9%を占める医師は「何も対応せず、我慢した」(回答数:189)と回答しています。

Q:ペイシェントハラスメントを受けた後、取った行動を教えてください。(複数選択可)

Q:ペイシェントハラスメントを受けた後、取った行動を教えてください。(複数選択可)

さらに、ペイシェントハラスメントを受けた時の対応について課題と感じたこと聞いたところ「対応方法が分からない」(回答数:138)が最多となりました。

Q:ペイシェントハラスメントを受けた時の対応について、課題と感じたことを教えてください。(複数選択可)

Q:ペイシェントハラスメントを受けた時の対応について、課題と感じたことを教えてください。(複数選択可)

これらの結果からは、「ペイシェントハラスメントを受けた際の適切な対応方法が分からなかったために、何も対応せず我慢するしかなかった」と苦悩した医師が多いと推察されます。

ペイシェントハラスメントに遭遇した際にこのような状況に陥らないよう、事前に以下の2点をチェックしておきましょう。

医師が事前に知っておきたいこと①勤務先の対応方針やフロー

医療機関によっては、ペイシェントハラスメント発生時の方針や対応フロー、相談窓口等が確立している場合もあります。

・ペイシェントハラスメントを受けた際の対応は決められているので、対応に困ったことはありません。(40代/泌尿器科/勤務医(大学病院以外の病院))

上記のコメントにもあるようにガイドラインで決められたフローがあれば、それに従って適切な対応を取れるので、いざという時に迷ったり困ったりすることがありません。
また一人で我慢してしまったり、無用にトラブルを大きくしてしまったりする危険性も回避できます。

常勤で勤務する職場だけでなく、非常勤医師として勤務するアルバイト先でも、事前にモンスターペイシェントへの対応フローを確認しておくと安心して働けるでしょう。

ペイシェントハラスメントへの対応マニュアルがない医療機関もまだ多い

ただし実際には、医療機関としてのペイシェントハラスメントへの対応方針やフローが示されていないまま働いている医師もまだ多いようです。

本調査では、勤務先から対応マニュアルや発生時の対応フローを「示されている」と回答した医師は全体のわずか18.4%にとどまっています。

Q:ご勤務先で、ペイシェントハラスメントに関する対応マニュアルや発生時の対応フローは示されていますか?

ペイシェントハラスメントに対する勤務先の方針やフローを知らない場合には、対応マニュアルについて勤務先の担当者や上司に尋ねてみることをお勧めします。

もしマニュアルが整備されていない場合にも、ハラスメント発生時の対応について事前に確認・相談しておくと良いでしょう。

医師が事前に知っておきたいこと②医師の応召義務

ペイシェントハラスメントを受けた際の対応について、「医師法第19条の、応召の義務に違反しないか気になる」という方も多いのではないでしょうか。

しかし現時点では、以下の厚生労働省の通知において「患者の不当な要求等によって診療上必要となる信頼関係が結べていない場合に医師が診療を断ることは、応召義務違反にならない」との解釈が示されています。

◆患者を診療しないことが正当化される事例の整理

① 患者の迷惑行為
診療・療養等において生じた又は生じている迷惑行為の態様に照らし、診療の基礎となる信頼関係が喪失している場合(※)には、新たな診療を行わないことが正当化される。
※ 診療内容そのものと関係ないクレーム等を繰り返し続ける等。

② 医療費不払い
以前に医療費の不払いがあったとしても、そのことのみをもって診療しないことは正当化されない。しかし、支払能力があるにもかかわらず悪意を持ってあえて支払わない場合等には、診療しないことが正当化される。具体的には、保険未加入等医療費の支払い能力が不確定であることのみをもって診療しないことは正当化されないが、医学的な治療を要さない自由診療において支払い能力を有さない患者を診療しないこと等は正当化される。また、特段の理由なく保険診療において自己負担分の未払いが重なっている場合には、悪意のある未払いであることが推定される場合もある。

引用:厚生労働省「応招義務をはじめとした診察治療の求めに対する適切な対応の在り方等について

このように診療とは無関係のクレームや迷惑行為が繰り返されたことで信頼関係が損なわれているケースや、支払い能力を有しているにもかかわらず支払いを拒否するなどのケースでは、医師が診療を拒否しても正当化されます。

つまり、上記に該当する患者に「応召義務違反では?」と言われたとしても、実際には応召義務違反には該当しない、ということになります。

よって医療従事者の命や精神を脅かすような患者からの不当な要求に対してはきっぱりと断り、毅然とした態度で臨む心構えが肝要です。

医師が実践している、ペイシェントハラスメントの予防策・対応策

医師が「ペイシェントハラスメントのない環境」で働くためには

最後に、過去にペイシェントハラスメントを経験した医師が、ペイシェントハラスメントを防ぐために実践していることや、ペイシェントハラスメントが発生してしまった際の対応策をご紹介します。

ペイシェントハラスメントの予防・対応策①十分なコミュニケーション・説明を行う

◆丁寧なコミュニケーションを心がける

ペイシェントハラスメントの発生を未然に防ぐためには、丁寧なやり取りや患者や患者家族の思いを傾聴することが大切という声が多く寄せられています。

・患者や付き添いの方の話や訴えをしっかりと聞き、相手の立場になって物事を考える。(40代/一般内科(訪問診療)/勤務医(非常勤のみ、フリーランス))

相手の目を見ながら、丁寧に説明することに尽きると思います。(50代/一般内科/勤務医(非常勤のみ、フリーランス))

・病気で不安な心境では、誰でも感情を抑えられなくなり、ハラスメントをしてしまう可能性がある。患者にはできるだけ親身になって接し、丁寧な対応を心がけながら、今の医療でできる事とできない事を説明している。(50代/一般内科/勤務医(診療所・クリニック))

◆説明の方法・伝え方を工夫する

また患者の情報リテラシーや状況、信頼関係の構築度等に合わせて、情報の伝え方を工夫しているという声も複数ありました。

・患者の機嫌が悪いという雰囲気を感じ取った時は、こちらの話す速度を少し落とすようにしている。(50代/循環器内科/勤務医(大学病院以外の病院))

・当たり前だが、説明用紙を用いて説明する。(60代/消化器外科/勤務医(大学病院以外の病院))

図や表などを用いて、簡潔で解りやすく、かつ丁寧な診療を心がけている。(60代/皮膚科/勤務医(診療所・クリニック))

特に初診の方やまだ気心が知れていない方には、事前に十分な説明を尽くす。(60代/循環器内科/勤務医(大学病院以外の病院))

・リスクが高い相手の場合には、あらかじめ診療録に予想されることや言動を記載しておく。そうすることによって、もし苦情が来ても、私に落ち度がないことを上司や管理部門に示すことができる。(40代/消化器内科/勤務医(診療所・クリニック))

通院や入院・治療費に関すること等、患者からよく聞かれる内容について説明漏れがないように、必要事項をまとめたリストやマニュアルを作成して準備しておくことも有効であるようです。

また診察内容や説明内容をカルテに記載しておくことは、何かあった際に自分の身を守ることにも繋がるでしょう。

ペイシェントハラスメントの予防・対応策②必要最低限の発言・対応にとどめておく

上述①とは反対に、必要以上の発言や対応を行わないことで、ペイシェントハラスメントの危険因子を減らすという意見も寄せられています。

◆余計な発言をしないようにする

必要最低限の事項しか話さない。基本的に、笑顔での塩対応。(50代/一般内科/勤務医(診療所・クリニック))

違った受け止められ方をされることもあるので、余計なことは話さないよう気をつけています。(40代/一般内科/勤務医(診療所・クリニック))

◆自身の専門や対応可能な範囲を超えた対応をしない

受診前に、必ず紹介状を医療機関から郵送してもらう。(40代/精神科/勤務医(診療所・クリニック))

専門外の領域は、診療しない方が良いです。今の若い先生達は無理しないようにしていて、懸命だと思います。(50代/整形外科/勤務医(非常勤のみ、フリーランス))

ペイシェントハラスメントの予防・対応策③相談できる人間関係を構築しておく

一般的にペイシェントハラスメントが発生した場合には、複数人で対応することが大切と言われています。

暴力やセクハラ等は一人で対応すると危険な場合もありますし、複数で対応することで聞き間違いや言った・言わない等のトラブルを防ぐこともできるためです。

医師側にミスや落ち度がないという証拠をしっかり提示するためにも、必ずモンスターペイシェントには複数人で対応するようにしましょう。

このような対応をスムーズに行えるように、院内で周囲の医師やスタッフに相談ができる関係性を構築することを普段から意識している医師も多いようです。

◆勤務先に「守ってくれる人」を作っておく

・従業員を守らない病院では、勤務しないようにしています。また、いざという時に味方を失わぬよう、看護師や事務員には普段から誠実に接するよう心がけています。(30代/一般内科/勤務医(非常勤のみ、フリーランス))

・大学のような組織では、ハラスメントに関する窓口が概して機能していない。結局自分の身を守ってくれる人を、自分自身で見付けるしかありません。(30代/一般内科/勤務医(非常勤のみ、フリーランス))

もし医療機関内での対応が困難だと感じる場合には、身の安全を図るため警察や弁護士など外部機関との連携も検討する必要があります。

ペイシェントハラスメントの予防・対応策④異なる勤務先で働くことを検討する

過去にペイシェントハラスメントを受けた際に適切な相談先や周囲からのフォローがなかったために、単独で対応することになったり心身の負担を感じたりしてしまった医師も少なくないようです。

・患者の応対が、基本医師のみ。従って話の内容がこじれた際にも、誰も関わってくれない。(50代/一般内科/勤務医(大学病院以外の病院))

・性格に難アリな患者(もしくはその家族)を丸投げされた挙句、「誠意が足りないから、トラブルが起こる」と上司は見て見ぬふり。(40代/一般内科/勤務医(診療所・クリニック))

・現場レベルの看護師やソーシャルワーカーなどは対応するが、診療拒否を決定できる「長」と名がつく役職の方は一切対応する気がなく困った。(30代/総合診療科/勤務医(大学病院以外の病院))

このように、ペイシェントハラスメントに対する勤務先や上司・周囲の対応に不信感を募らせてしまう場合や、解決の糸口がなかなか見えずに一人で苦しんでしまう場合には、勤務先を変更することも一つの選択肢です。

本調査では、実際にペイシェントハラスメントを受けたことをきっかけに転職をした医師は、全体の1割以上を占めています。

Q:ペイシェントハラスメントを受けた経験がきっかけとなり、勤務先の変更を検討したことはありますか?

Q:ペイシェントハラスメントを受けた経験がきっかけとなり、勤務先の変更を検討したことはありますか?

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◆調査概要「ペイシェントハラスメントに関するアンケート」
調査日:2023年11月14日~11月28日
対象:Dr.転職なび・Dr.アルなびに登録する会員医師
調査方法:webアンケート
有効回答数:461

Dr.転職なび編集部

ライター

Dr.転職なび編集部

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