株式会社エムステージが運営する医師の転職支援サービス「Dr.転職なび」では、2023年・冬の医師のボーナス事情について調査を実施。現役医師・523名から、回答を得ました。
本記事では上記の調査結果から、勤務先別にみる医師のボーナス支給状況や支給額の実態、ボーナスによる仕事のモチベーションへの影響等についてお伝えします。
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【2023年・冬】医師のボーナス支給状況は?
2023年・冬のボーナスを支給された医師は、全体の32.1%
2023年の冬のボーナスについて、「既に支給された」および「これから支給される予定」と回答した医師は、合わせて全体の32.1%を占めました。
Q:今回の冬のボーナス支給状況を教えてください。
なお2023年の夏にボーナスを支給された医師は全体の32.6%で、2023年の冬とほぼ同じ割合の医師が勤務先からのボーナスを受け取っていました。
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コロナ5類移行による、医師のボーナスへの影響は少ない
2023年5月には新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行し、現場対応等にも様々な変化が生じた医療機関も少なくないはずです。
このように世の中がコロナ禍「後」へ移行していく中で、医師のボーナスの支給有無や金額などには変化や影響はあったのかを尋ねた質問では、91.2%の医師が「変化や影響はない」と回答しました。
コロナ5類移行による、今冬の医師のボーナスへの影響は少ないようです。
【勤務先別】医師のボーナス支給状況は?
続いて、医師が働く医療機関別に医師のボーナス支給状況を見てみました。
Q:今回の冬のボーナス支給状況を教えてください。
ボーナス支給率が最も高いのは、国公立病院の勤務医
ボーナスを「既に支給された」「これから支給される予定」と回答した医師の割合が最も高くなったのは、国公立病院で働く勤務医(88.1%)です。
次いでボーナス支給率が高いのは私立大学病院の勤務医(62.5%)、国公立病院・大学病院以外の民間病院の勤務医(35.4%)となっています。
なお同じ大学病院の勤務医であっても、私立の大学病院で働く医師のボーナス受給率は、国立の大学病院で働く医師のボーナス受給率のおよそ2倍以上高くなっている点も大きな特徴といえます。
【2023年・冬】医師のボーナス支給額と使い道は?
2023年・冬のボーナスの支給額は「50万円以上100万円未満」が最多
2023年の冬のボーナスを受け取った(または受け取る予定)医師に、具体的な支給額を尋ねました。
Q:ボーナス支給額は、どのくらいですか?
上記のように「50万円以上100万未満」と回答した医師が最多であり、全体の41.7%占めました。
続いて「50万円未満」(26.2%)、「100万円以上150万円未満」(16.7%)の順に多くなっています。
【勤務先】医師のボーナス支給額は?
続いて、医師が働く医療機関別のボーナス支給額を確認してみました。
Q:ボーナス支給額は、どのくらいですか?
ボーナス支給額「100万円以上」の割合が高いのは、クリニックと民間病院の勤務医
ボーナス支給額が100万円以上(「100万円以上150万円未満」「150万円以上200万円未満」「200万円以上」の割合を合計)の割合に注目してみると、診療所・クリニックで働く勤務医が最も高い割合を占めていることが分かります(36.0%)。
また国公立病院・大学病院以外の民間病院で働く勤務医も、34.8%の方が100万円以上のボーナス受け取っています。
ボーナス支給額「100万円未満」の割合が高いのは、大学病院の勤務医
一方で、支給額が100万円未満(「50万円未満」「50万円以上100万円未満」の割合を合計)の割合を見てみると、国立の大学病院で働く勤務医が最も高い割合となっています(85.8%)。
私立の大学病院で働く勤務医についても100万円未満という回答が70%を占めており、国立・私立ともに大学病院はボーナス支給額が少ない傾向があると推測されます。
医師のボーナスの使い道は?
次に、医師のボーナスの使用予定について尋ねました。
Q:今回のボーナスを、どのように使う予定ですか?(複数選択可)
今冬のボーナスの使い道で最も多くなったのは「貯蓄」(回答数:104)で、全体の59.5%と半数を超える結果となりました。
近年のインフレ進行や物価高騰の影響もあってか、貯蓄以外では「生活費」(回答数:46)や「投資」(回答数:35)、「子どもの教育費」(回答数:29)等、慎重な使い道を挙げる医師が多くなっているようです。
医師のボーナスへの納得度や、仕事上のモチベーションへの影響は?
約6割の医師は、2023年・冬のボーナス支給額に「納得」
2023年・冬のボーナス支給があった医師に、支給額に対する納得度を尋ねた結果は以下の世通りです。
Q:今回のボーナス支給額に対する納得度を教えてください。
最も多かったのは「まあ納得している」と回答した医師で、全体の4割以上を占めました。
「納得している」と回答した医師と合わせて、ボーナス支給額に納得している医師は59.0%と半数を超えています。
3人に1人以上の医師が、今冬のボーナス支給額に納得していない理由は?
一方でボーナス支給額に納得していない(「あまり納得していない」「納得していない」の割合を合計)医師も、全体の約35%存在しています。
その理由には、どのようなことがあるのでしょうか。
今冬のボーナス支給額について、納得している/納得していない理由をそれぞれ尋ねた質問では、以下のような回答が寄せられました。
納得度の高い医師の多くが、「勤務先や所属科の業績に見合っている」と感じている
Q:(上記で「納得している」「まあ納得している」と回答した医師へ)そのように感じる理由として、当てはまるものを教えてください。(複数選択可)
ボーナス支給額への納得度が高い医師は、「勤務先や所属科の業績に見合っている」(回答数:38)ことや、「自分の業績が適正に評価されている」(回答数:29)と感じられることを理由として挙げています。
「適正に評価されていない・算出方法が不明確」と感じ、納得できない医師が多い
一方のボーナス支給額への納得度が高い医師からは、「自分の業績が適正に評価されていない」「支給額の算出方法が不明確である」(ともに回答数:20)といった理由が挙げられており、勤務先の評価体制に不満や不信感を抱いている医師が少なくないという状況が見えてきます。
Q:(上記で「あまり納得していない」「納得していない」と回答した医師へ)そのように感じる理由として、当てはまるものを教えてください。(複数選択可)
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56.6%の医師は「ボーナスで、仕事へのモチベーションが変わる」
最後に、ボーナスが仕事へのモチベーションに与える影響について尋ねたところ、およそ6割に上る医師が「ボーナスによって仕事へのモチベーションが変わる」と回答しました。
Q:ボーナスによって、仕事へのモチベーションは変わると思いますか?
◆変わる
・それだけ(勤務先から)配慮されていると感じられるから。(60代/消化器内科/勤務医(健診施設や老健など))
・少額であってもボーナスを支給されると、貢献しようとやる気が出る。(40代後半/泌尿器科/勤務医(国公立病院・大学病院以外の病院))
・適正評価によってボーナスに変化が生じるのであれば、より一層働く。(30代前半/小児科/勤務医(非常勤のみ、フリーランス))
◆変わらない
・年俸で評価されるものと思っている。(30代後半/皮膚科/勤務医(国公立病院・大学病院以外の病院))
・モチベーションは給料でなく、救命。(60代/呼吸器内科/勤務医(診療所・クリニック))
◆どちらともいえない
・今までボーナスがある病院で働いた経験があまりないので、分からない。(40代前半/総合診療科/勤務医(国立の大学病院))
・ボーナスが評価によって左右されるなら、多少はモチベーションにつながる。
しかし経験上は、よほど怠慢だったりしない限り評価は横並びなので、結局は総支払額さえ十分なら良い。(30代後半/泌尿器科/勤務医(国立の大学病院))
・金銭的には関係ないと言いながらも、評価されれば嬉しいのが人の常だから。(50代前半/消化器外科/勤務医(国公立病院・大学病院以外の病院))
57.8%の医師は、転職時にボーナスを「重視する」
また、転職を検討する際のボーナスの重要度についても尋ねたところ、およそ6割の医師が重視すると回答しています(「かなり重視する」と「まあ重視する」の割合を合計)。
Q:今後転職をすることがあれば、ボーナスの有無や支給額を重視しますか?
◆かなり重視する
・出来高があるとないとでは、やる気に差が出る。(30代後半/一般内科(訪問診療)/勤務医(診療所・クリニック))
◆まあ重視する
・同じ働くのであれば、少しでも収入が増える職場が良い。(30代前半/救急科/勤務医(国立の大学病院))
・ないよりも、ある方が良いに決まっている。(50代前半/消化器外科/勤務医(国公立病院・大学病院以外の病院))
◆あまり重視しない
・トータルの年俸が高ければ、ボーナスはあってもなくても構わない。(40代後半/一般外科/勤務医(国公立病院・大学病院以外の病院))
・ボーナスにも社会保険料がかかってしまうので、トータルが同額ならばボーナス無しで月々の給与が高い方がいい。(50代前半/一般内科/勤務医(国公立病院・大学病院以外の病院))
・ボーナスよりも、毎月決まって支給される額が高い方が予定が立てやすい。(40代前半/総合診療科/勤務医(国立の大学病院))
◆全く重視しない
・ボーナスにも税金がかかるので、メリットを感じない。(40代後半/糖尿病内科/勤務医(国公立病院・大学病院以外の病院))
・あらかじめ年俸額が決まっている方が、気持ちの負担が軽くなる。(70代以上/一般内科/開業医)
・ボーナスがあると退職する時期を考えねばならないので、ない方が良いです。(50代前半/一般内科/勤務医(国公立病院・大学病院以外の病院))
▼合わせて読みたい!「退職時期」に関する記事はこちら
以上、2023年・冬のボーナスに関する調査結果をお伝えしました。
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