さまざまな理由から医局に所属し続けることに疑問を感じる一方で、「本当に退局すべきかどうかの決断ができない」「申し出のタイミングが分からない」と感じている方は多いのではないでしょうか。
「Dr.転職なび」が退局経験のある医師205名に行った調査では、退局したタイミングで最も多かったのは「卒後6年目~10年目」でした。
また、8割以上の医師は「医局を辞めたことに伴う大きな困りごとはない」と回答しています。
本記事では、医師が医局を辞める理由や最適なタイミング、退局時によくある不安、退局後に困らないために知っておきたい対策をくわしくご紹介します。
目次
205名の医師が「医局を辞めた」理由やタイミングは?
医局を辞めた理由で最も多いのは、「望まない人事異動」
医局に所属する医師にとって、異動(いわゆる医局派遣)は つきものです。
基本的に異動先は医局が決定し、転居が必要な遠隔地の医療機関に赴く場合もあります。
特に転居を伴う異動の場合には生活面も大きく変わり、金銭的な負担が大きくなる場合もあるでしょう。
このように異動を繰り返す生活に疲弊し、医局を辞めることを決意する医師が多いようです。
Q:医局を辞めた理由として、当てはまるものを教えてください。(複数回答可)
専門医を取得した「卒後6年~10年目」に医局を辞める医師が多い
医師が医局を辞めたタイミングとして最も多かったのは、「卒後6年~10年目」です。
Q:医局を辞めたタイミングを教えてください。
医局に所属するメリットとしてよく挙げられるのが、専門医資格を取るための環境が整っていることです。
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一般的に医師が最初の専門医資格を取得するのは卒後6年~10年目のタイミングが多くなっており、「専門医を取得したことを機に医局を辞める」という医師の意図が感じられる結果となっています。
実際に医局を辞めた医師からは、以下のような声も複数寄せられています。
・専門医や指定医、そして学位などを取ろうと思えば、医局への所属が必然となると思います。(50代/循環器内科/勤務医(大学病院以外の病院))
・専門医取得は医局にいた方が、断然楽。
医局に属しているからこそ経験できるという症例も、数多くあると思う。(30代/消化器内科/勤務医(大学病院以外の病院))
・トップの人格、理念や能力に疑問を感じるようなら、医局にとどまる必要はないでしょう。我慢するのであれば、専門医取得までと考えます。(50代/泌尿器科/勤務医(大学病院以外の病院))
医局を辞めた医師が、退局時に不安を感じていたことは?
全体の3割を超える医師は、医局を辞めることが「不安だった」
続いて、医局を辞めたときの心情や不安、懸念していたことについて聞きました。
Q:医局を辞めることについて、不安はありましたか?
医局を辞めることに「あまり不安はなかった」(40.0%)が最多で、「全く不安はなかった」(27.3%)と合わせて約7割の医師は 医局を辞めることに大きな不安はなかったと回答しています。
一方で、医局を辞めることに不安があったと回答した医師は全体のおよそ3割を占めています(「かなり不安だった」「やや不安はあった」の回答を合計)。
医局を辞めるとき、医師が不安に感じていたことは?
上記で「医局を辞めることに不安があった」と回答した医師は、具体的にどのようなことを懸念していたのでしょうか。
退局にあたっての不安①医局という後ろ盾が無くなる
・自分の力でやっていけるかどうかという不安。(やや不安はあった/30代/整形外科/勤務医(大学病院以外の病院))
・何かミスをしたときやトラブルになったときのバックアップを、医局がしてくれなくなる。(やや不安はあった/60代/産婦人科/勤務医(診療所・クリニック))
退局にあたっての不安②医局からの圧力を受けるのではないか
・「大学病院宛に、患者さんの紹介がしづらくなるかも…」と不安があった。(やや不安はあった/50代/循環器内科/勤務医(大学病院以外の病院))
・地元に戻るとき、圧力を受けないか。(やや不安はあった/60代/一般内科/勤務医(大学病院以外の病院))
・退局後も家族まで巻き込んだ形で続く、教授のパワハラに対する不安。(やや不安はあった/50代/一般内科/勤務医(非常勤のみ))
退局にあたっての不安③キャリアに関する不安
・生きていけるのか、食べていけるのか。医者そのものを辞めなくてはならないのか。
具合が悪くなるくらい、心配であった。(かなり不安だった/50代/一般内科/勤務医(大学病院以外の病院))
・医師としてのキャリア面について、不安が大きかった。(かなり不安だった/30代/美容皮膚科/勤務医(診療所・クリニック))
退局にあたっての不安④新しい就職先が見つかるか
・今後は、仕事をあっせんしてもらえなくなるという不安。(やや不安はあった/50代/一般外科/開業医)
・良い就職先が、見つかるかどうか。(かなり不安だった/40代/内分泌科/勤務医(非常勤のみ))
退局した医師から学ぶ!医局を辞めても困らないための3つの対応策
最後に、医局を辞めた医師たちの現在の状況と、退局に向けて備えておきたいポイントをご紹介します。
18.5%の医師は、医局を辞めて「困っていることがある」と回答
Q:医局を辞めたことによって、困っていることはありますか?
医局を辞めた現在の状況を尋ねたところ、「困ることは全くない」(45.4%)という回答が最多に。
「困ることはあまりない」(36.1%)と合わせて、およそ8割を超える医師は 医局を辞めたことに伴う大きな困りごとはない状態であることが分かりました。
一方で、「少し困ることがある」「困ることが多い」と回答した医師も全体の2割弱います。
退局後に困らないために知っておきたい!対応策・3選
続いて、医師から寄せられたコメントをご紹介しながら、退局前から実践できる対応策を考えていきます。
退局後困らないための対応策①専門医を取得してから辞める
▼退局後「困ったことがある」医師のコメント
・教育責任者に印鑑を押してくれるドクターがいないので、基本的に専門医資格を申請できないこと。(困ることが多い/50代/一般内科/勤務医(大学病院以外の病院))
・専門医取得など、キャリアパスに関することがスムーズに進まない。(困ることが多い/40代/糖尿病内科/勤務医(診療所・クリニック))
専門医取得のメリットは、自らのスキルアップに加え、他の医師や医療従事者、そして患者様など 対外的に一定の評価や信頼を得られるということです。
加えて 転職活動においても、専門領域への一定の技術レベルや実績の証明となる専門医資格を持つ医師は歓迎されやすい傾向があります。
上述したように、医局には専門医取得を目指すための環境が整っています。
より希望にマッチした転職を成功させるためにも、退局するタイミングは 可能な限り「専門医を取得した後」で調整すると良いでしょう。
退局後困らないための対応策②キャリアプランについて、相談先を見つける
▼退局後「困ったことがある」医師のコメント
・今後のキャリアについて、不安がある。(少し困ることがある/30代/小児科/勤務医(大学病院以外の病院))
日々の業務が忙しく、これまで「キャリアプランについて考えたり、将来に向けて情報を収集したりする時間がなかった」という方も多いのではないでしょうか。
上司や先輩といったロールモデルとなる医師が身近にいる医局から離れ、突然すべてを自分で選択・決断していく環境に身を置くのは不安なものです。
加えて、専門医を取得し一定の経験を積んできた卒後6年目以降は、キャリアの選択肢が大幅に広がります。
医師転職市場で提示されている多くの選択肢のなかから最適解を見つけるためには、医師のキャリアパスに詳しい人のサポートが必要不可欠といえます。
具体的には、自分の希望に近い働き方の知人医師に話を聞いてみたり、医師専門の転職エージェントに相談してみたりする等があるでしょう。
「医療経営士」のコンサルタントがご対応!
退局後困らないための対応策③外勤先を自身で探せる環境を整えておく
▼退局後「困ったことがある」医師のコメント
・バイト先は、自分で探さないといけない。(少し困ることがある/40代/消化器外科/勤務医(大学病院以外の病院)
・退職後の行き先やバイトがどれぐらいあるのか、しっかりリサーチしてから辞めるべき。(50代/皮膚科/勤務医(診療所・クリニック))
医局で働いている間は、派遣先はもちろん、外勤先の医療機関も指定されるケースが大半です。
しかしいったん医局を離れると、自分自身で情報を集めて検討し、求人応募や面談などを経て、勤務先を決定していくことになります。
一般的には知人の伝手に頼ったり、医師アルバイトの求人サイトを利用したりといった方法で外勤先を探すことになるでしょう。
もし「はじめてのアルバイト探しで、何から始めたら良いのか分からない」という場合には、医師のアルバイト情報に詳しいエージェントの存在が頼りになります。
医師アルバイト市場の概況や感覚について聞くことができたり、条件を伝えておくだけで必要な情報を提供してくれたりと、希望に合うサポートを受けられます。
多くの場合は無料で利用できますので、上手に活用してみましょう。
医局を辞めた医師が実感している、変化やメリットは?
87.8%の医師は「医局を辞めて良かった」と回答
Q:「医局を辞める」という選択をして良かったですか?
医局を辞めるという選択について、「後悔している」と回答した医師は5.4%(「少し後悔している」「非常に後悔している」の回答を合計)、「辞めて良かった」と回答した医師は87.8%を占める結果に(「まあ良かった」「非常に良かった」の回答を合計)。
医局を辞めた医師のおよそ9割が、「医局を辞めて良かった」と感じていることが分かりました。
◆QOLが改善した
・家族のために、より多くの時間を割けるようになった。(まあ良かった/30代/小児科/勤務医(大学病院以外の病院))
◆収入が上がった
・拘束時間が減った一方、収入は大幅にアップした。(非常に良かった/50代/呼吸器内科/勤務医(診療所・クリニック))
・正当に実力が評価され、給与が倍になった。(非常に良かった/60代/一般内科/勤務医(大学病院以外の病院))
◆働き方の自由度が増した
・自分で職場を選べるのが、最高です。(非常に良かった/30代/呼吸器内科/勤務医(大学病院以外の病院))
医師は、医局「以外」の場所や働き方も選択できる
最後に、これから医局を辞めることを検討されている先生方に向けたメッセージをご紹介します。
・自分のやりたい事を実現できるように、進路を考えて欲しい。(50代/一般外科/勤務医(大学病院以外の病院))
・医師はいろいろな働き方があり、いろいろな仕事に従事できる家業。
病院医療にこだわらず、どんどん外の世界を見て、自分の興味のある分野を見つけてほしい。
それは若い時期のみならず、年配の先生でも、いつでも学べるということを体感してほしい。(50代/腎臓内科/勤務医(診療所・クリニック))
・辞めようと思った時が、辞め時です。(40代/消化器外科/勤務医(大学病院以外の病院))
以上、医局を辞めた先生方に聞いた退局の理由やタイミング、退局時に不安だったこと、そして現在の状況についてお伝えしました。
医局からの転職で迷うこと・分からないことがあれば、「Dr.転職なび」までお気軽にお問い合わせください。
専任のコンサルタントが、秘密厳守で先生をしっかりサポート。
医局からの転職事例のご紹介も含めて、先生のご希望・ご状況にしっかりと寄り添いながら最適な情報提供をいたします。
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◆調査概要「医局に関するアンケート」
調査日:2023年6月6日~6月13日
対象:Dr.転職なび・Dr.アルなびに登録する会員医師
調査方法:webアンケート
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